AmazonとSlack提携 ビデオ会議システムなど
【シリコンバレー=奥平和行】米アマゾン・ドット・コムとビジネスチャット大手の米スラック・テクノロジーズがビデオ会議システムなどの分野で提携する。スラックがアマゾンのビデオ会議を自社サービスに組み込むほか、クラウドコンピューティングなどの領域で連携を深める。米マイクロソフトなどとの競争が激化しそうだ。
アマゾンのクラウド部門である米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とスラックが4日に発表した。スラックは従来、ビジネスチャットサービスを通じてビデオ通話などの機能を提供してきたが、技術基盤の自社開発を取りやめ、AWSから供給を受ける形に切り替える。
4日に日本経済新聞の取材に応じたスラックのブラッド・アームストロング副社長は、「現在は提供していない(スマートフォンなどの)モバイル機器を通じたビデオ通話や文字起こし機能の追加などを検討している」と説明した。
スラックは以前からサービスの基盤としてAWSなどのクラウドを使ってきたが、今後はAWSからの調達を増やす方向だ。技術者の間で人気が高いスラックを通じてAWSのサービスの監視や操作をしやすくするほか、アマゾンの約84万人の全社員が社内外との連絡にスラックを使えるようにする。
新型コロナウイルスの流行を機にビジネスチャットやビデオ会議の利用が急増し、企業間の競争が激化した。スラックはビジネスチャットで先行したが米マイクロソフトの「チームズ」が攻勢を強め、収益の重荷となっている。赤字基調が続き、2020年2~4月期決算を発表した4日には、米株式市場の時間外取引で株価が一時、同日終値より16%超下落した。
スラックはAWSとの連携により、ビデオ通話などの開発に携わっていた技術者を他の分野に振り向け、競争力を高めたい考えだ。アマゾンはクラウドで先行したがマイクロソフトの激しい追い上げを受けており、「アマゾン・スラック連合」によりマイクロソフトと競う構図が鮮明になる。