「ズーム」日本で本格展開、スラックにどう対抗?
ビデオ通話ソフト「Zoom(ズーム)」を手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの日本法人、ZVC JAPAN(東京・千代田)は11日、記者説明会を開き日本オフィスの開設や事業戦略を発表した。
日本のユーザー数増加ペースはアジア最速
説明会にはズーム創業者兼最高経営責任者(CEO)のエリック・ヤン氏がZoomを利用して参加しプレゼンテーションした。「創業以前から多くのソリューションが市場にあったが、必ずしも素晴らしい体験を提供していなかった。Zoomは真にストレスフリーの体験を提供する」と話した。
ズームは2011年に設立後、19年4月には米ナスダック市場に上場した。本社は米カリフォルニア州サンノゼに構え、従業員数はグローバルで2000人となっている。
従来のビデオ会議ツールとの違いとして、100%クラウドベースであること、世界の13のデータセンターからグローバルに提供すること、モバイル端末に対応しスクリーンの共有機能などを備えること、開発者向けのオープンなAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供することなどを挙げた。
Zoomは企業のビデオ会議以外にも、営業における商品デモ、ウェビナー(ウェブとセミナーを組み合わせた造語)機能を用いたイベントの開催、従業員向けの遠隔サポート、語学レッスンといった用途に活用できる。
Zoomを展開する上位6カ国は米国、日本、インド、中国、カナダ、英国。中でも日本のユーザー数はアジアで最も速く伸びていることから、日本における事業拡大を決断した。
日本でZoomが広まった要因は、「北米の企業とのミーティングにZoomを使ったユーザーが、品質の良さに気付いてくれた。その後は日本国内でのコミュニケーションにもZoomが使われるようになり、有機的な成長を遂げている」(ヤン氏)と説明した。
チャットツールの米スラック「Slack(スラック)」や米マクロソフト「Teams(チームス)」にどう対抗していくかについては、「サービスごとに最も優れたものを選ぶ、ベストオブブリードのサービスになりたい。チャットにはSlackを使いながら、ビデオ会議のときにはZoomを使ってもらえる」(ヤン氏)とした。
日本オフィス人員は19年内に倍増
グローバル展開の詳細な説明では国際セールス部門トップのエーブ・スミス氏が登壇。「日本では1年ほど前からZoomへの注目が高まっている。政府による働き方改革の推進もあり、さらに成長が見込める」と話した。
米ウォルマートなどグローバル企業がZoomを導入していることを背景に、日本でもZoomが使われる機会が増えているという。日本オフィスの従業員は現在23人だが、「19年内に人員を倍増させる。日本の文化や言語を尊重し、ローカルに展開する」(スミス氏)。
(ライター 山口健太)
[日経 xTECH 2019年7月11日掲載]