夜の東京、不安再び アラート発動「また客足が…」
繁華街感染3割 20~30代多く
東京都が2日夜、新型コロナウイルス感染者の増加を受けて独自の警戒情報「東京アラート」を発動した。緊急事態宣言の解除からまだ1週間余り。休業や時短営業の再要請には至らないが、都は感染経路の一つとみる夜の街への警戒を強める。少しずつ客足が戻ってきた繁華街では、驚きや不安の声が上がった。
「これを機に改めて夜の街、3密などに十分注意してもらいたい」。東京アラートを発動した都の対策本部会議終了後、小池百合子知事は記者団にこう語った。テレワークや時差出勤にも引き続き取り組むよう都民に求めた。
都は感染者の急増を受け、3月25日に夜間や休日の外出自粛を要請。政府が4月7日に緊急事態宣言を出すと、幅広い業種に休業や営業時間短縮などを求めた。都心の人出が大幅に抑えられ、1日あたりの新規感染者数は大幅に減少した。
国の緊急事態宣言解除後の5月26日、都は休業要請の段階的な緩和を始めた。独自の行程表「ロードマップ」の「ステップ1」として、午後8時までとしていた飲食店の営業時間を午後10時に延長するなどした。6月1日には「ステップ2」に移行し、ショッピングモールなど不特定多数が訪れる大規模施設の営業を認めたばかりだった。
アラート発動でも感染拡大に歯止めがかからなければ、再び幅広い業種に休業を要請する「ステップ0」に逆戻りし、都民は厳しい外出自粛を求められることになる。
都が警戒するのが夜の街での感染だ。2日までの1週間で報告された陽性者114人のうち、夜の繁華街関連は約3割の32人に上り、半数近くは国内有数の繁華街・歌舞伎町などを抱える新宿エリアだ。20~30代の若年層の感染が目立つ。
都内の繁華街ではこの夜、店のネオンが街を明るく照らし、通りを絶え間なく人が行き交った。夜が深まるにつれ、居酒屋などではお酒や食事を楽しむ客が目立った。
「客足がまた遠のかないか」。歌舞伎町でダイニングバーを営む男性は心配する。新型コロナの影響で店の売り上げは前年に比べ2~3月は3~4割、4月は9割減った。約2カ月の休業を経て、1日に営業を再開した。「街に人の流れがようやく戻ってきたところだったのに」と残念がる。
別の居酒屋では1日から営業時間を午後10時まで延長し、以前の5割ほどまで客足が戻っていたという。この日も換気のため入り口の扉を開けっぱなしにした店内でカップルらが食事を楽しんでいた。男性店長は「今後も店内の消毒など徹底するしかない」と話した。
友人と訪れた都内のアルバイトの男性(30)は感染対策をしている居酒屋を探して通りを歩いていた。「感染者が増えると自粛生活に戻らざるを得ない」と心配しつつも「気をつけながら楽しみたい」と笑顔を見せた。
一方、東京・新橋では空席が目立つ飲食店も。半分ほどの客席が空いていた居酒屋の男性店長は「周りの店が最近になって続々と閉店した。このまま影響が長引けば街はどうなるのか……」と表情を曇らせていた。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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