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30年後の日本のホテルはどうなっているか?

龍崎翔子さん×星野佳路さん 「Nサロン」トークセッション

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 訪日外国人(インバウンド)増加や、2020年東京五輪・パラリンピックなどで注目を集める日本のホテル業界。しかし、世界進出の遅れなど克服すべき課題も多い。そんなホテル業界を、どう変えていったらよいのか。19年2月にスタートした日本経済新聞社とnoteの共同コミュニティ「Nサロン」トークセッションとして15日、ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんと星野リゾート代表・星野佳路さんの2人が話し合った。モデレーターは、MATCHA代表取締役社長の青木優さんが務めた。

2人は日本のホテル業界の現状をどう見ているのか。

星野さんは、日本のホテルの栄光時代は、1980年代前半だったという。日本の御三家と言われるホテルが、雑誌のランキングで世界1位を取った時代だ。そこから失敗した理由は、バブル崩壊ではなく「なぜ日本のホテル会社がアメリカでホテルを運営するのかという問いに答えられなかったから」。

その後、日本のホテル会社は低迷を始めた。現在、世界のホテルは欧米の運営会社が駆逐しており、日本のホテル会社は国内に留まっている。「さて、これから、どうするの、というのがこれまでの流れ」と星野さんは分析する。

一方、龍崎さんは、「金沢とか仙台などちょっとした地方都市にいくとホテルの選択肢がない」ことがユーザーとしての問題意識にあったという。富裕層向けのラグジュアリーホテルか、リーズナブルなビジネスホテルしか選べない。

そんな中、大きな転機は、2011年ごろからゲストハウスが「おしゃれ化」したこと。急激に洗練されて、インターネットを通じてバックパッカーたちが質の高いゲストハウスの情報を共有するようになり、「泊まれるカフェのようなおしゃれ系ゲストハウスが増えた」。

その後、ビジネスが成立すると注目したデベロッパーによる不動産系のゲストハウスも増えてきた。最近の流れはライフスタイル系ホテルと言われるホテルが増えてきたこと。日本にもともとあったブティックホテルもこの3年ぐらいで急に増え、この分野もデベロッパーの参入が盛んになっているという。

星野さんは、龍崎さんのこうした見方を受けて「ホテルは真似しやすい業態。だから競争力の源泉はどこにあるか、見極めないといけない」と指摘する。新しいホテルは常に出てくるので、表面的なデザインなどではない真の競争力を見つけなければならない。

星野リゾートの競争力の源泉は、「生産性」だという。日本のホテル運営会社が再び世界に出ていくにはどういうシナリオがあるのか。いまさらながら世界に出て行って勝ちうるパターンとは何か。世界のホテルと違ったパターンを見つけないといけないが、その答えが生産性だと主張する。

もちろん「常に新しい魅力」を提供することも競争力の源泉だ。モチベーションの高いスタッフが、常にあたらしい舞台をつくり続けるといった集客も大事だが、「生産性を高めて利益率を上げて、投資家を味方につけていくことが真の競争力につながる」(星野さん)。

龍崎さんは、自社の競争力の源泉は商品企画力だという。湯河原で引き継いだ温泉旅館は赤字だった。あまり条件がよくない旅館で、考えついた企画は「卒論執筆パック」だ。卒業を控えた学生が卒業論文を書くために温泉に「缶詰」になるというもの。料理も質素にし、当初は1泊2食で7000円と安価に設定したところ「めちゃバズった」。

これに味をしめて「大人の原稿執筆」パックも売り出しこちらも好評に。このほか「積読(つんどく)解消パック」など「パック」商品が売上高の8割を占めているという。交流サイト(SNS)も積極的に活用している。

なかでも注目しているのが、客の投稿を活かすUGC(ユーザージェネレイテッドコンテンツ)だ。自分たちのホテルが「刺さる」層に効くマイクロインフルエンサーにPRしてもらう。「自分から載せたい、と思ってもらえる仕掛けづくりが大事。写真映えも客の宿泊体験を完成させる大事な1ピースだと思う」と龍崎さん。

新しいホテルをつくるときにコンセプトをどう練りあげるのか?

星野さんは、「最初はあまのじゃくから入る」という。あえて周囲が言っていることに反対してみる。例えば熱海だったら温泉街だし、男性が宴会やっているイメージ。そこに「子どもを連れていってみようよ」と、常識に対して、真逆で入っていくという気概からスタートするといろんなアイデアが出てくる。

こうして多くのアイデアを出していくのだが、「最後は数字」なのだという。どのぐらいの部屋単価と稼働率になるか? 結局は王道に戻ってしまったりするが、最初に目いっぱい「跳んでいるもの」をリストアップして、それをどう数字を使って王道の範囲に収めるか。そんなプロセスで練り上げるのだという。

星野さんはまた、決定までのプロセスを重視している。星野リゾートの奥入瀬渓流ホテルは苔を楽しめることがヒットの理由となったが、星野さんは「軽井沢なんか苔だらけだし、そんなものわざわざ青森まで見に行くか」と、最後まで疑っていたという。

しかし、「ここはプロセスがよかった」。奥入瀬は本来、紅葉と渓流がみられる場所だが、それにまず反発してみようというところから、いろんなアイデアが出てきた。

「ここは日本でも多くの種類の苔がそろっており、背景がしっかりしていた。よくよく計算してみると集客できそうという数字的な根拠もあった。現地メンバーの盛り上がりも1つの要素だった」と振り返る。

一方の龍崎さんは、どのホテルを始めるときでも「ここはどういう街なのか」を解釈することを必ずやっている。街らしさをどこに求めるかが大事になるという。「京都だったら障子とか、竹とか、赤い傘とか、は絶対したくない」。街の歴史と今後を考えるのだ。

「HOTEL SHE, OSAKA」のある大阪・弁天町だったらどうか。「大阪といっても人情とかタコヤキとかお笑いでなく、弁天町であれば、陰ひなたの歴史を持っている場所だと思うが、そうした歴史に光を当てて考える」。

予算的な問題もあるが、ブランド力のある土地ではやらない。龍崎さんいわく、東京・代官山でホテルをやっても、私が代官山のブランドに乗っかっているだけ。「なんやそこ」みたいに思われているような場所で、自分たちの力で街の評価を高めていきたいという意気込みだ。

2人は、日本のホテル業界の将来をどう見ているのか。

龍崎さんは「30年後かもしれないが、ホテルは絶対にいつか減ると思う」と予想する。今後は「移動」の時代になると、泊まるためだけのホテルはなくなる。そこで何が求められえるか、をいまリアルに想像しており、30年後はそれをやりたいという。

一方、星野さんは「ホテルは増えると思う」。世界ではまだまだ旅をしたことのない人のほうが多く、これからは旅をしやすくなる世の中になると思うからだ。

ただ、日本のホテル業界は、世界のトップになったときから30年以上くやしい思いを続けている。「世界に通用するホテル運営会社になりたい」というのが星野さんの思いだ。

「私の時代にどこまでできるかわからないが、日本のホテル会社が、世界に一つもチェーン展開していないことは、おもてなしの国としてありえない」。その足がかりとなる案件をいくつか手掛け、次の世代にバトンタッチしたいという。

 龍崎翔子 1996年生まれ、京都府出身。8歳時に家族でアメリカ大陸を横断した時、1日の最終目的地であるホテルに「もっと気分が上がるホテルがあったらいいのに」と不満を抱いたという。ホテル経営に興味を持ち、東京大学在学中に北海道の富良野のペンションを購入してホテル経営を始める。現在はL&G GLOBAL BUISNESS, Inc.代表として、北海道以外にも、大阪、京都、湯河原などに計5つのホテルを運営中。
 星野佳路 1960年、長野県軽井沢町生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院にて修士号を取得。米国でのホテル開発や金融機関勤務を経て、1991年に星野温泉旅館 (現在の星野リゾート)4代目社長に就任。所有と運営を一体とする日本の観光産業において、いち早く運営特化戦略をとるビジネスモデルへ転換。「星のや」「リゾナーレ」「界」「OMO(おも)」の4ブランドを中心に、国内外38箇所の施設を運営中。

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