トランプ氏、石油業者への資金支援を指示 原油急落で
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は21日、ブルイエット・エネルギー長官とムニューシン財務長官に対し、石油や天然ガスの生産業者に対する資金支援計画をまとめるよう指示した。原油価格が急落し、経営状況が悪化していることを踏まえた措置だ。過度な経営支援は原油安の主因である供給過剰の解消を遅らせ、協調減産に合意した産油国の反発を招く恐れがある。
トランプ氏はツイッターで「偉大な石油・ガス業界を決して失望させない」と強調した。資金支援を通じて「とても重要な企業と雇用は長期にわたって維持されるだろう」と指摘したが、資金支援の具体的な内容には触れなかった。
石油業者の救済は米国が主張してきた市場原理に基づく生産減に逆行する取り組みともいえる。ブルイエット長官は4月の主要20カ国・地域(G20)エネ相のテレビ会議で、原油安によって米国の原油生産量は2020年末までに日量約200万バレル減るとの予測を説明。供給過剰の解消に向けた米国の貢献をアピールしていた。米国の経営支援には協調減産を主導するサウジアラビアやロシアが不満を募らせる可能性がある。
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