米情報機関「中国がトランプ氏の再選望まず」
【ワシントン=中村亮】米国家情報長官室(DNI)は7日の声明で11月の大統領選をめぐり「中国はトランプ大統領が再選しないことを望んでいる」と指摘し、選挙介入に懸念を示した。ロシアが野党・民主党の候補指名を固めたバイデン前副大統領に対し「名誉を傷つける措置をとっている」とも非難した。
「外国政府が米国の有権者の好みや考えに影響を及ぼすことなどを目的に、秘密裏の対策や公然とした措置を引き続き講じている」と訴えた。中国とロシア、イランを名指しして「特に懸念している」と強調。一方で「敵国が大規模に干渉し投票結果を改ざんするのは困難だ」とも説明した。
中国がトランプ氏の行動や政策決定を「予想不可能とみている」と推測し、敗北を望む理由にあげた。大統領選を控えて「影響力を行使する活動」を加速させていると主張。中国に優位な政策を促し、中国の国益に合致しない政治家が不利になるよう圧力をかけ、対中批判を和らげようとしていると分析した。「(選挙干渉について)強力な措置を取る損得を精査している」とも見込んだ。
トランプ氏は7日の記者会見で「バイデン氏が大統領になれば中国は我が国を支配するだろう」と語り、同氏が中国に弱腰だと批判した。これまでも中国がバイデン氏の勝利を望んでいると主張しており、DNIはトランプ氏の見方を追認したことになる。トランプ氏が大統領選に向けて対中政策を争点化するために強硬姿勢を一段と鮮明にする可能性がある。
DNIはロシアがバイデン氏に引き続き批判的だと指摘した。同氏がオバマ前政権時代にロシアのプーチン大統領の反対派を支持したことなどが理由。ロシア政府につながる人物や組織がSNS(交流サイト)を通じてトランプ氏の再選を後押ししているとも分析した。米政権は2016年の大統領選にロシア政府が介入したと結論づけた。ロシアは米国の主張を一貫して否定している。
DNIはイランが、トランプ氏の再選でイランの体制転換を促す取り組みが続く事態を懸念しているとみる。イランがトランプ氏に打撃を与えるためSNSで偽情報を拡散させているという。
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