ラオス首相「国際平和へルール維持を」 アジアの未来
ラオスのトンルン・シスリット首相は31日午前、都内のホテルで開かれた第25回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演した。米中貿易戦争や南シナ海の領有権問題などを念頭に「国際社会は平和と安全の協力への自信を失いつつある」と警鐘を鳴らした。信頼の再構築に向けて「既存のルールを維持して改善することが最良だ」と呼びかけた。
米中貿易戦争が激しさを増す中、経済規模の小さいアジアの国々にも悪影響が及ぶとの懸念が広がっている。トンルン氏は「平和、独立、友好、協力という政策を推進する」と自国の外交・発展の原則を強調した。
既存のルールや枠組みで肯定的な役割を果たしている一例として、東南アジア諸国連合(ASEAN)や国際河川であるメコン川の水資源利用について協議する「メコン川委員会(MRC)」などを挙げた。
今後の経済発展を巡っては「アジア各国がグローバルなステージで重要な役割を担っており、世界経済のけん引役になっている」と指摘した。親密な関係にある中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」にも言及し「各国の相互理解は進んでいる」と述べた。
今秋に山場を迎えるとされる、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の早期妥結を望む考えを表明。「開発ギャップの縮小」に活用できるとの認識を語った。
日本に対しては質の高いインフラや人材開発など「極めて重要な役割を果たしてきた」と評価した。「新しい世界秩序の推進に貢献する」と期待感を示した。
日本経済新聞社は5月23、24日の両日、「揺れる世界とアジアのリーダーシップ」をテーマに日経フォーラム第29回「アジアの未来」を開催します。会場参加に加え、オンラインでの聴講も可能です。
第29回 開催概要