中国石油大手2社が赤字転落、20年1~3月期
原油価格下落に新型コロナ追い打ち
【北京=多部田俊輔】中国の国有石油大手3社の香港上場子会社の収益が悪化している。原油価格の下落や新型コロナウイルスの感染拡大による需要減が原因だ。中国石油天然気(ペトロチャイナ)と中国石油化工(シノペック)が29日発表した2020年1~3月期決算はともに最終赤字に転落した。中国海洋石油(CNOOC)は20年12月期の投資額を約1割圧縮すると発表した。
原油生産などが主力のペトロチャイナは162億元(約2400億円)の最終赤字に陥った。前年同期は102億元の黒字だった。原油と天然ガスの生産量を6%増やしたものの、販売価格が原油で9%、天然ガスで23%、それぞれ下落したことが響いた。売上高は5090億元と14%減少した。
石油精製が主力のシノペックは前年同期の154億元の黒字から一転、191億元の最終赤字に転落した。ガソリンや化学品などの需要が減少し、原油加工量は13%減った。価格も下落したため、売上高は23%減の5555億元に落ち込んだ。
海洋油田の開発が中心のCNOOCは最終損益を公表していないが、謝尉志・最高財務責任者(CFO)は29日の電話会見で「20年1~3月期は赤字にはなっていない」と明らかにした。原油・天然ガスの生産量を10%増やしたものの、その収入は6%減ったという。
CNOOCは原油と天然ガスの生産・投資の下方修正も発表した。原油と天然ガスの生産量を今期初めの計画から3%減らし、総投資額を約1割減らす。生産コストが中国内に比べ割高な米国のシェールオイルなどが主な削減対象になる。
中国政府は新型コロナの影響で低迷する国内の経済のテコ入れに向け、国有企業をけん引役に位置づける。ただ、石油大手3社は原油価格の下落で収益が悪化していることから、投資規模の縮小やコスト削減により業績の回復を優先する。
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