日立、ブラックアウト防ぐ電力変換装置 ABBと共同で
日立製作所は23日、中部電力の変電所で使う電力変換システムを受注したと発表した。中部電は同装置を利用し、東京電力ホールディングス(HD)の管内に電力を送る能力を現在の30万キロワットから90万キロワットに増強する。日立は買収を決めたスイスの重電大手ABBの製品を利用しシステムを提供する予定で、国内では初の受注案件となった。
受注額は非公表だが数百億円規模になるという。2027年度の運転開始を見込んでいる。中部電の東清水変電所で使う周波数の変換装置で、自励式という新たな仕組みを採用した。停電で電力を送る系統の一部が止まっても、電力の供給が継続ができるため停電時のブラックアウト(全域停電)を防げる。
日立は15年にABBと高圧直流送電(HVDC)を扱う合弁会社「日立ABB HVDCテクノロジーズ」を設立した。今回はABBの電力変換装置と日立の変圧器を組み合わせたシステムを収める。
電力会社は地震などの災害で発電所などが停止した場合に、他の電力会社と電気を融通し合う仕組みを持つ。全国では北海道電力が本州との電力系統の増強に自励式を初めて採用した。中部電は東電との系統の増強に取り組んでおり、今回の東清水変電所を含め合計で300万キロワットまで融通できる電力量を増やす計画を進めている。