孫会長、ライドシェア規制は「日本の進化を遅らせる」
ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は2019年5月9日の決算説明会で記者からの質問に答え、自家用車を旅客運送に活用するライドシェアが日本で規制されている現状について危機感を表明した。孫会長は「日本の進化を遅らせ、世界に誇れる日本の自動車産業ごと根底からやられてしまう危険すらある。規制当局や政治家は世界で何が起こっているのか、眼を見開いて判断をしてほしい」と発言し、改めて規制緩和が必要だと強調した。一方で日本の状況によらず、世界での普及を見据えて投資を続けていく考えも示した。
ソフトバンクグループは、17年に組成したソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を通じて世界各国のライドシェア事業者に出資する。中国の滴滴出行(ディディチューシン)や米ウーバーテクノロジーズ、シンガポールのグラブ、インドで「オラ」を運営するANIテクノロジーズなどだ。滴滴出行のタクシー配車アプリなど、出資先との協業による日本展開にも積極的だ。
ここに立ちはだかるのが、自家用車や第一種運転免許の運転者による旅客サービスを原則禁止としている日本のライドシェア規制だ。孫会長は18年7月の講演で、「ライドシェアを法律で禁じている。こんなばかな国はない」などと政府を批判していた。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 玄忠雄)
[日経 xTECH 2019年5月9日掲載]
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