外相「北朝鮮、安保理決議違反」 弾道ミサイル断定
日米両政府は10日、北朝鮮が9日発射した飛翔(ひしょう)体を「弾道ミサイル」と断定した。河野太郎外相は北朝鮮のミサイル発射は「明確に国連安全保障理事会決議違反だ」と述べた。トランプ米大統領も「誰も喜ばない。事態を深刻に注視している」と不快感を示しており、非核化を巡る米朝交渉に影響を及ぼす可能性もある。
日米の防衛当局の分析によると、北朝鮮が北西部の亀城(クソン)一帯から発射した飛翔体は複数の短距離弾道ミサイルだった。国連安保理決議では北朝鮮に対し、距離にかかわらずあらゆる弾道ミサイルの発射を禁じている。
一方、中国や韓国は弾道ミサイルかどうかについて断定を避けている。国連安保理は日本時間10日夜の時点までに緊急会合の招集をかけていない。河野氏は訪問中のモスクワ市内で記者団に「日米、または日米韓3カ国で連携をしながら、国際社会による安保理決議の完全な履行をしっかりと続けていきたい」と語った。
トランプ米政権は北朝鮮との対話は継続する一方、制裁緩和には応じない方針だ。米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は10日、訪問先のソウルで韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談し、「北朝鮮が交渉に復帰する扉はなお開いている」と述べた。
一方、トランプ氏は9日、「彼らは交渉したがっているが、その準備ができているとは思えない」と述べ、早期の交渉再開は難しいとの見方を示した。
トランプ氏は全面的な核放棄と制裁解除を一括合意する「ビッグディール」(大きな合意)を目指しており、当面は部分的な非核化にとどめたい北朝鮮と歩み寄る兆しはない。物別れに終わった2月末の米朝首脳会談を最後に途絶えている非核化交渉を再開するメドは立っていない。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。