夜間中学、相次ぎ開校 千葉・埼玉に
千葉県松戸市と埼玉県川口市で1日、公立夜間中学が開校した。公立校は戦後、昼間働く少年少女らのために誕生し、多い時は全国に80校以上あったが、半数以下に減少した。近年になり、不登校のまま中学を卒業した人や訪日外国人らが学ぶ場としてのニーズが急増している。
松戸、川口両市が開校を決めたのは、不登校生や増加する外国人のために必要と判断したため。松戸市の3月27日現在の入学予定者は10~70代の男女25人で、うち8人が外国人。川口市では82人のうち過半数が外国人という。松戸市では志望理由に「中学で人間関係に苦労したので、コミュニケーション能力を高めたい」「日本の習慣や文化も学びたい」との内容が挙がったという。
文部科学省などによると、夜間中学は戦後、公立中の2部授業という形で夜間学級を設置したのが始まりで、就学援助策の充実や社会情勢の変化で次第に減少した。
文科省の調査では2017年7月現在、8都府県の公立31校に約1700人が通う。ニーズの高まりを背景に開校を模索する動きは広がっており、80自治体が検討。徳島、高知両県によると、いずれも21年4月をめどに開校する方針。
千葉県教育委員会によると、松戸市の公立校では幅広い年代や国籍の生徒に対応できるよう指導歴が長いベテランの教員ら9人を専属で配置。生活相談にも力を入れる。
公立夜間中学の元校長で京都教育大の岡田敏之教授(実地教育)は「日本語指導や生活相談などに対応できる教員は今も不足している。国や自治体は開校を推し進めるだけでなく、専門性を持つ教員の確保、人材育成が必要だ」と注文した。