米、ファーウェイを起訴 違法取引や企業秘密の窃盗
【ワシントン=鳳山太成】米司法省は28日、イランとの違法な金融取引に関わった罪などで中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)と同社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を起訴したと発表した。孟氏を逮捕したカナダに身柄の引き渡しを求める。米通信会社から企業秘密を盗んだ罪でも同社を起訴した。閣僚級の貿易協議を目前に控え、米中の対立が激しくなりそうだ。
イランの事件を巡って起訴したのは、中国のファーウェイ本社と米国子会社、関連会社スカイコム・テックと孟氏。いずれも銀行詐欺や通信詐欺に関与したり、共謀したりした疑いがある。
米司法省の資料によると、ファーウェイは関連会社スカイコム・テックを通じて、米国が制裁対象としているイランと製品や金銭をやり取りしていた。ファーウェイ側は「スカイコム・テックとは無関係」と金融機関に虚偽の説明をしていたという。
カナダの司法当局は2018年12月1日、米国の要請に応じて孟氏を逮捕した。その後、孟氏は保釈が認められ、カナダに滞在している。米司法省は犯罪人引き渡し条約に基づき、カナダに身柄引き渡しを求める方針を表明した。カナダの裁判所が今後判断する。
このほか、米通信大手TモバイルUSが開発した携帯電話の品質管理ロボットに関する企業秘密をファーウェイの社員が盗み出したり司法妨害したりした罪で、同社と米国子会社を起訴した。
司法省の会見にはロス商務長官やニールセン国土安全保障長官が同席した。閣僚が会見に出席するのは異例だ。
米中両政府は30~31日、ワシントンで閣僚級の貿易協議を開く。米国側はファーウェイと貿易交渉は別の問題だと繰り返しているが、直前の起訴には中国に構造問題で譲歩を迫る思惑があるとの臆測も出ている。
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