米高官、台湾政策で「戦略的曖昧さ」維持を
米ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)でアジア政策を統括するキャンベル・インド太平洋調整官は4日、米国が中国による武力侵攻から台湾を防衛する立場を明確にすれば、「重大な不都合」が生じると述べた。歴代米政権による「戦略的曖昧さ」を維持すべきだとの見解を示した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のオンラインイベントで語った。
キャンベル氏は台湾問題をめぐり、現状維持が利益にかなうとの認識が米中双方にあると主張した。情勢が不安定化した場合に米国が取る対応をはっきりと示すべきだとの指摘に対し、「(従来の方針を転換して)そのように戦略を明確にすれば、いくつかの重大な不都合が生じる」と否定的な考えを示した。
日米は4月に開いた首脳会談の共同声明で52年ぶりに台湾に言及した。キャンベル氏は台湾海峡の安定にむけて「日本とともに適切な措置を講じる」と述べ、日米協力の重要性を強調した。台湾で米中が衝突すれば、「(影響が)急速に広がり、誰にも予測できないかたちで世界経済を根本的に揺るがすだろう」とも警告した。
戦略的曖昧さを巡っては、中国が台湾への軍事的圧力を強めているのを受けて米国内で見直し論が浮上している。ただ、結果的に中国の武力侵攻を誘発しかねないとして慎重な意見も多い。