ベトナムとロシア 南シナ海で原油生産開始
【ハノイ=大西智也】ベトナムとロシアの合弁石油会社、ベトソフペトロはベトナム南部の南シナ海で原油生産を開始した。2032年までに10億ドル(約1100億円)超の国家収入に貢献するという。
ベトナム国営石油会社系のPVEPとロシアの合弁会社であるベトソフペトロがベトナム南部の沖合160キロメートルにある海底油田で原油生産を始めた。近隣にはベトソフペトロが運営する国内最大規模のバクホー油田があり、効率的な生産が可能という。
産油量は当初1日当たり230バレル超を見込む。同海底油田は、中国が領有権を主張する海域に含まれていない。
同海底油田はベトソフペトロが55%、PVEPが30%、ベトナム不動産大手ビテクスコが15%の権益を持つ。ベトナムでは新規の油田開発が進んでおらず、地元メディアによると数年ぶりの新規案件となる。
ベトナムでは1986年にバクホー油田で生産が始まり、アジア有数の産油国になった。ただバクホー油田の生産量が落ち込み始めた影響で2004年をピークに産油量が減少。こうした影響で10年前後には石油の純輸入国になったとみられている。
ベトナム政府は、原油埋蔵の可能性がある南シナ海の自国の排他的経済水域(EEZ)で原油開発の調査を進めたい考え。ただ南シナ海は中国が領有権を主張する海域が多い。領有権を巡る問題でプロジェクトがストップしている案件も出ており、新規の油田開発は難しい情勢が続いている。
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