一帯一路「欧州は一体で対応」 仏大統領、中国をけん制
【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領は25日、欧州歴訪中の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とパリで会談した。マクロン氏は会談後の記者会見で、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に関し「欧州が一体となり、一貫性のある戦略を持っていることが前提になる」と述べ、欧州連合(EU)加盟国を個別に切り崩そうとしている中国の動きをけん制した。
マクロン氏は一帯一路について「具体的な計画のリスト」に中国とともに取り組むと表明する一方、各国がバラバラに構想に参加すれば、EUの結束が揺らぐと警戒感を表した。習氏は「中国は常に欧州の統合と発展を支援する。多極的な我々の世界観とも一致するからだ」などと語った。
習氏は欧州歴訪などの機会を通じ、一帯一路で協力する覚書を各国と結んできた。EU加盟28カ国のうち、23日に新たに加わったイタリアを含む13カ国が覚書に署名している。
ただ中国の国有企業がギリシャの主要港ピレウス港を買収するなど、中国は欧州でもインフラ投資など経済分野で存在感を強めている。EUとして共通した方針を示す必要があるとの声がEU内で出ている。
一方、中仏両国は首脳会談に合わせて計15件、400億ユーロ(約5兆円)相当のビジネス契約も結んだ。このうち欧州エアバスは小型機A320を290機、中型機A350を10機を中国の航空会社から受注した。仏AFP通信によると、カタログ価格で約300億ユーロに上るという。他に再生エネルギーなどの事業が含まれる。