緊急事態宣言、6月20日まで延長決定 9都道府県
首相「接種100万回、6月中旬以降」
政府は28日、31日に期限を迎える9都道府県に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言を6月20日まで延長すると決めた。医療の提供体制や変異ウイルスの感染拡大を踏まえ判断した。菅義偉首相は28日の記者会見でワクチンに関し、6月中旬以降は1日100万回接種できる体制が整うと表明した。
政府の新型コロナ対策本部で宣言延長を正式決定した。首相は記者会見で「全国の新規感染者数は減少に転じているが、依然として予断を許さない状況だ」と述べた。
「諸外国をみてもワクチンは感染防止の切り札だ。接種に全力をあげている」とも語った。これまで1日100万回の接種体制ができる時期は明らかにしていなかった。
東京五輪・パラリンピックへの国内の観客の受け入れに意欲を示した。プロ野球やJリーグを例示して「入場者数などを参考にしながら対応できる」と指摘した。
政府や国際オリンピック委員会(IOC)は6月中に観客の方針を決める。政府高官は「観客を入れるとしても、5千人もしくは定員50%の(宣言下の)上限は超えないだろう」と話した。
延長するのは北海道、東京、愛知、大阪、京都、兵庫、岡山、広島、福岡の9都道府県。23日に加わった沖縄県とあわせて6月20日までの宣言地域は10都道府県になる。
緊急事態宣言に準じた措置を取る「まん延防止等重点措置」は埼玉、千葉、神奈川、岐阜、三重の5県の期限を6月20日まで延ばす。群馬、石川、熊本の3県は6月13日の期限を維持する。
政府は新たな支援策を打ち出した。新型コロナで生活に困窮する世帯向けに3カ月で最大30万円を給付する。
既存の事業者向け支援も継続する。政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の申請期限を6月末から2021年末まで延長する。条件を満たせば国からの利子補給で3年間無利子となる。
休業手当を支払う企業を支援する雇用調整助成金の特例措置も6月末の期限を延ばし、7月も継続する。
宣言地域で酒類やカラオケ設備を提供する飲食店への休業要請は続ける。酒類を出さない店も午後8時までの営業時間の短縮を引き続き求める。
百貨店などの大規模商業施設は午後8時までの時短要請を維持する。東京都と大阪府は休業要請を緩和し、平日は午後8時までの全館営業を容認する。土日は引き続き休業を促す。東京は映画館への要請を休業から営業時間短縮に切り替える。
4月25日に東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で始まった宣言の延長は今回で2度目になる。政府は6月20日の宣言期限までにワクチン接種の回数を積み上げ、感染拡大の抑止を狙う。
政府の発表によると、5月26日までに報告された総接種回数は計1059万5100回で、2回打ち終えた人は医療従事者が280万人程度、高齢者が20万人程度になった。7月末までに高齢者接種を終了するため、ワクチンの供給拡大や打ち手の確保などの体制構築を急ぐ。
首相は記者会見で「6月中旬以降は、打ち手も含めて1日100万回に対応できる体制ができてくる」と明言した。高齢者接種の見通しがついた市町村から、6月中にも基礎疾患のある人などへの一般向け接種を開始する考えを改めて表明した。
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