検事長の定年延長 野党「違法」と追及 法相「公務員法を適用」
立憲民主党などでつくる野党共同会派は12日の衆院予算委員会で、黒川弘務東京高検検事長の定年延長について、違法な措置だと追及した。国民民主党の後藤祐一氏は「過去の政府見解と矛盾する」と指摘した。森雅子法相は国家公務員法の規定を適用したと説明し、適法だと主張した。
立民の山尾志桜里氏が10日の衆院予算委で、人事院が1981年の国家公務員法改正時の国会審議で「検察官らはすでに定年が定められ(定年延長を含む国家公務員の)定年制は適用されない」と答弁していると指摘していた。後藤氏もこれを踏まえて12日の衆院予算委で、検察官は一般の国家公務員と異なり、定年を延長できないはずだと訴えた。
人事院の松尾恵美子給与局長は12日、「制定当時はそういう解釈だ。現在までも特に議論はなかったので同じ解釈を続けている」と述べた。
検察庁法では検察官の定年年齢と退職時期の規定はあるが、定年延長に関する規定はない。森氏は「国家公務員法は公務遂行上、必要であれば勤務延長することになっている。検察官は一切、定年延長できないのはおかしい」との見解を示した。
後藤氏は「人事院と法務省の統一見解を政府として出してほしい」と求めた。菅義偉官房長官は「求めがあれば検討する」と答えた。
政府は1月31日の閣議で、2月7日に63歳の定年を迎えた黒川氏について8月7日までの勤務延長を決めた。検察庁法は検察官の定年を63歳、検察トップの検事総長の定年を65歳と定めている。定年延長の規定はなく、検察官の定年延長は初めてとみられる。
黒川氏は法務次官などを歴任し、首相官邸からの信任も厚いとされる。定年延長は稲田伸夫検事総長の後任に充てる余地を残すためとの見方がある。