59年ぶり「芝浦」復活へ、東芝機械が社名変更
工作機械大手の東芝機械は22日、2020年4月1日に社名を「芝浦機械」に変更すると発表した。同社を巡っては17年3月、同社株の約2割を保有していた東芝が経営悪化を受け同社株の大半を売却してグループから切り離していた。伝統の芝浦を59年ぶりに社名に冠し、独立系メーカーとして再スタートを図る。
6月に開催予定の定時株主総会に社名の変更を諮る。東芝機械は1938年に芝浦製作所(現・東芝)が出資し「芝浦工作機械」として設立、61年に現社名となり営業を続けてきた。東芝は17年に同社株の約18%を売却。これを東芝機械が買い受け、東芝の保有比率は約2%に低下していた。
新社名に使われる芝浦は同社がかつて工作機械で展開していたブランド名(SHIBAURA)でもあり、現在も一部製品に残る。工作機械の老舗ブランドとして一定の知名度がある。
東芝機械の18年3月期の連結業績は売上高が1168億円、営業利益が46億円だった。プラスチック製品の製造に使われる精密射出成型機のほか、スマートフォン(スマホ)向けカメラの製造に使われる超精密加工機でも高い競争力を持つ。
工作機械の伝統企業として知られ、日本工作機械工業会現会長の飯村幸生会長兼最高経営責任者(CEO)を含め過去に複数の会長を輩出した。
1980年代には、当時共産主義国だったソビエト連邦に工作機械などを不正に輸出。対共産圏輸出統制委員会(ココム)の規制に違反したとして政治問題に発展した、「東芝機械ココム違反事件」を起こしたことでも知られている。