ジャカルタで大規模デモ 外資誘致法に抗議
【ジャカルタ=地曳航也】インドネシアの首都ジャカルタなど主要都市で8日、海外からの投資を促す制度一括改正(オムニバス)法に反発する労働者や学生が大規模デモを開いた。一部が暴徒化し、路上で火を放ったり石を投げたりしたため、警察が催涙弾や放水で応じ、騒ぎが広がった。
ジャカルタ北部の大統領宮殿周辺や在インドネシア日本大使館もあるオフィス街のタムリン通りなどで、数千人がデモで訴えた。ジョコ大統領は国内出張のため宮殿を離れていた。ジョクジャカルタやバンドンなどでもデモが起きており、今後反対運動が広がりを見せる可能性もある。
デモの参加者が抗議したオムニバス法は5日に国会で成立した。外資を呼び込むため、経営の自由度を高める規制緩和を拡大する内容だ。労働組合側からは経営者が解雇しやすくなるなど労働者の権利を損ねるとして反対論が強かった。
ジョコ氏は新型コロナウイルスの感染拡大で急減速した国内経済を回復する起爆剤として同法の成立を急いだ。当初は8日の国会成立を想定したが、労組などが6~8日に反対集会を計画したため、与党は予定を早めて5日の採決に踏み切った。奇襲的な手法も反発を買ったとみられる。
新型コロナ感染の拡大を受け、首都ジャカルタでは大規模な集会は規制されている。警察当局はデモの取り締まりを強める方針だ。