頼れる!警視庁の防犯アプリ ダウンロード16万件突破
画面タップでブザーが鳴り響き、痴漢被害者に代わって"大声"で助けを求める――。警視庁が開発した防犯用のスマートフォン(スマホ)アプリ「Digi Police(デジポリス)」が人気を集めている。配信を始めたのは2016年だが、ここにきて利用者が急増。ダウンロード数は16万件を突破し、行政発アプリとしては異例のヒットとなっている。
「みんなにお勧めしたい警視庁公認アプリ」。1月中旬、短文投稿サイト「ツイッター」でこんなつぶやきが急速に共有された。
きっかけは、アイドルグループ「NGT48」のメンバーが自宅マンションに押しかけてきた男に顔をつかまれた事件の表面化。グループの運営会社は全メンバーに防犯ベルを配るなどの対策を発表したが、ネット上でファンなどから「不十分だ」との声が相次いだ。
そこで注目を集めたのがデジポリスの「防犯ブザー」機能。緊急時にベルの絵の画面をタップするとスマホの最大音量で電子音が鳴り響き、あらかじめ登録したメールアドレスに通知を送る。合わせてスマホの位置情報を送ることも可能だ。
ネット上で「防犯ベルより役立つアプリ」として話題になり、1月だけでダウンロード数は約1万3千件と通常の月平均の6倍に達した。
「痴漢撃退」機能では、画面に「痴漢です 助けてください」と表示され、怖くて声が出せなくても周囲の人に見せて助けを求めることができる。さらに画面をタップすると、アプリが「やめてください」と"大声"を上げる。
他にも▽不審者の出没情報や警察署の位置などを表示する地図▽特殊詐欺の防犯対策を指導する動画――などが組み込まれている。
警視庁は一層の普及を目指し、3月に大幅な改修を予定。駆け込み先として交番の位置を地図に表示するなど防犯機能を強化する。紺を基調としたホーム画面はより明るい色調のデザインに変更する方針という。
警察が配信するアプリは他にも。大分県警のアプリは、スマホを車のダッシュボードに固定すると前の車との車間距離を計測し、近づきすぎると音声などで警告する。県内で多い追突事故を減らすため、カー用品メーカーと共同開発した。
愛知県警は、飲食店などが不当に高い料金を請求する「ぼったくり」の摘発に力を入れており、条例に基づいて指定した悪質な店の位置を地図上に表示するアプリを配信している。
防犯に詳しい東京未来大の出口保行こども心理学部長は「多機能なアプリでも分かりにくいものは使われない。若い女性や子供が使いやすいものにすることが重要」と指摘。「デジポリスには、ワンタップで110番できる機能など、さらなる改善を期待したい」と話している。