ミャンマー、5年ぶり電力値上げ 発電の赤字解消狙う
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー政府は25日、電力料金を7月に引き上げると発表した。値上げ幅は、家庭向けで最大3倍、事業者向けは同1.8倍となる。改定は2014年以来5年ぶり。利用料金は単位あたりの発電コストを40%も下回り、電力供給公社の赤字を補う補助金が膨らんでいた。
ミャンマーでは都市部での家電製品の普及や農村の電化で、電力需要が急拡大している。世界銀行は18日に公表した報告書で、需要が毎年11%増えると試算し、発電所の整備などに「年20億ドル(約2160億円)の投資が必要になる」と指摘する。
政府は外資を含む民間企業による発電事業への投資を促し、電力供給を確保する考えだ。発電事業の採算性を上げるために料金の引き上げが課題となっていた。
電力料金は近隣国に比べて安い。日本貿易振興機構(ジェトロ)の18年時点の調査では、家庭向けはタイの5分の1、カンボジアの6分の1の水準だった。料金の引き上げは消費者の反発を招く恐れもある。月間使用量が30キロワット時以下の料金は、1キロワット時あたり35チャット(約2.5円)に据え置いたものの、それ以上電力を使う家庭では値上げとなる。
ミャンマーでは以前は安価な水力発電の比率が高かったが、電力需要の拡大でガス火力発電の比率が増し、発電コストが高くなった。世銀によると、電力需要は30年に1260万キロワットとなり、現在の約3.5倍に達する見通しだ。
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