グーグル、AI家電開発後押し スピーカー連携簡単に
【ラスベガス=中西豊紀】米グーグルは8日、メーカーが「つながる家電」を開発しやすくするシステムを発表した。自社の音声人工知能(AI)スピーカーと連動する製品を簡単に作れるようにするキットを、2019年後半に発売する。自社技術への対応製品を増やすことでデータの収集量を増やし、AIの性能をいっそう高める狙いがある。
同日、一般公開が始まった世界最大の家電・技術見本市「CES」で発表した。発売するのは「グーグルコネクト」と呼ぶ小型のハードウエアだ。家電メーカーなどが自社製品に組み込むと、グーグルの音声AI「アシスタント」が入ったスピーカーなどと無線などで連動するようにできる。
例えば消費者が「天気を教えて」とAIスピーカーに話しかけると、ネット上から集めた情報をスピーカーが家電に送り、家電に内蔵した画面に映すといったことができる。
新システムそのものはAI用の複雑な半導体を必要としないため安価。資金力に乏しい中小家電メーカーでも、アシスタントに関連した製品をつくることが可能になる。同じ発想の製品は「コネクトキット」の名称でアマゾンも18年9月に発表済み。同キットの価格は10ドル(約1080円)にも満たないもようだ。
「世界10億の端末に我々のAIが入っている」。8日の記者会見でグーグル幹部は強調した。自社のほか、中国レノボ・グループ(聯想集団)や米フォード・モーターなど他社での採用が急速に進み、18年は扱う端末が前の年比で4倍に増えたという。
アシスタントが入ったスピーカーを2016年に発売してから、グーグルは音声AIの活用先を急速に広げてきた。ヘッドホンから空調システム、車載ディスプレーから家の鍵まで、人が接するあらゆるハード機器にアシスタントを投入。昨年はCESに初の大型ブースを設置し「家電」の世界での存在感を見せつけた。グーグルコネクトの販売により普及を加速する狙いだ。
対応機器が増えればグーグルが扱うデータ量がそれだけ増えることになる。利用者の言い回しや音質などあらゆる条件でAIを訓練し、より「賢い」アシスタントを作ることができる。
世界最大のテクノロジー見本市「CES」。2024年は1月9日にアメリカ西部ラスベガスで始まり、ソニーやサムスンなどIT関連企業が出展しました。最新ニュースをまとめました。
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