ドイツ、温暖化ガスの削減目標引き上げ 30年に65%減
【ベルリン=石川潤】ドイツ政府は5日、温暖化ガスの排出量の削減目標を高める方針を固めた。これまでは2030年までに1990年比で55%削減する目標だったが、65%削減に引き上げる。温暖化ガスの排出を実質ゼロとする時期も50年から45年へ前倒しする。地球温暖化への危機感が高まるなか、より野心的な目標を掲げる動きが広がりつつある。
ドイツのショルツ財務相が明らかにした。中間目標として40年には90年比で88%の削減を目指す。気候保護法の改正案を来週にも閣議決定する見通しだ。
欧州連合(EU)も昨年、30年の温暖化ガスの排出目標を90年比40%減から55%減へ引き上げる方針を示していた。EUやドイツの目標引き上げの背景には、排出削減にいち早く取り組むことで、環境技術などで優位に立ちたいとの思惑がある。
さらに欧州では、気候変動対策を先送りすることは、若者に負担を押しつけることにつながるとの声が広がっている。独連邦憲法裁判所は先週、温暖化ガス削減の取り組みが十分でないとして、22年末までの厳格化を求めていた。
ドイツは9月に連邦議会選挙(総選挙)を控えている。一部の世論調査では、環境政党の緑の党が支持率1位となり、政権を奪取する勢いをみせている。メルケル政権を支える保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)や中道左派のドイツ社会民主党(SPD)としても、温暖化対策に積極的な姿勢を示す必要に迫られていた。