ミャンマー国家顧問府相、「米がグローバルから離脱」
ミャンマーのチョー・ティン・スエ国家顧問府相は31日、第25回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)で講演し、米中貿易戦争の激化で「両方の国の成長が減速することになる」との見方を示した。自由貿易を推進してきた米国が「グローバルな貿易体制から離脱し続けている」とも述べ、米国をけん制した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は自由貿易と外国からの投資受け入れで成長してきたと主張し、「自由貿易を推進してきた分、影響にさらされやすくなっている」との懸念を示した。
中国など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に関しては「究極的な答えではないが、地域の主要な国が入っており非常に効果が大きい」と、早期の妥結を訴えた。RCEPの実現で世界人口の45%にアクセスでき、保護貿易の動きに対抗できると主張した。
ミャンマーでのイスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害問題を巡っては「私たちは宗教の自由を保障している」と改めて強調した。隣国バングラデシュと協力して「彼らが戻れるように私たちは努力している」として国際社会の理解を求めた。ミャンマーでは2017年8月に武装集団の襲撃を受けた治安部隊がロヒンギャへの掃討作戦を実施し、70万人強がバングラデシュに逃れたとされる。
ミャンマーは中国政府と協力して「中国・ミャンマー経済回廊」構想を進めている。チョー・ティン・スエ氏は中国とは「家族のような近親関係」と表現した。
中国による過剰融資で借金を返せなくなることへの懸念については、新政権が中国当局と再交渉の末、大型港の事業費圧縮に成功したことを念頭に「債務のワナにはならない」との認識を示した。
日本経済新聞社は5月23、24日の両日、「揺れる世界とアジアのリーダーシップ」をテーマに日経フォーラム第29回「アジアの未来」を開催します。会場参加に加え、オンラインでの聴講も可能です。
第29回 開催概要