「キログラム」定義、130年ぶりに改定 物理定数もとに
重さの単位「キログラム」の定義が約130年ぶりに変更された。フランスで開催された国際度量衡総会で16日に正式に決まった。これまではパリ郊外の国際度量衡局で保管する分銅「国際キログラム原器」を基準にしてきたが、2019年5月から物理学の「プランク定数」をもとに定める。社会生活への影響はないが、より精度の高い計測が可能になるという。
1キログラムは水1リットルの重さと定義されていたが、温度による変動などがあり、1889年に国際キログラム原器を基準にすることが決まった。ただ、表面の汚れや傷で重さがわずかに変わる可能性があり、誤差のない基準の策定が進められてきた。
プランク定数は電子の質量などに関係し、正確な値がわかれば計算で1キログラムを割り出せる。その測定には産業技術総合研究所やドイツ、米国などの研究機関が関わった。
今回の総会では、絶対温度の単位「ケルビン」や電流の「アンペア」、物質の量を示す「モル」も定義が変わった。
茨城県つくば市の産総研の本部では20人の研究者がネット中継で総会を見守り、変更が決まると拍手が起こった。
藤井賢一首席研究員は「キログラムの定義を変えるのは夢で、現役の間は無理だと思っていた。30年来の成果が実った」と感慨深げに語った。