RIZAP株がストップ安 個人が失望売り
15日の札幌アンビシャス市場でRIZAPグループ株に売り注文が殺到した。制限値幅の下限(ストップ安)となる前日比80円(約19%)安の345円で取引を終えた。売り注文が買い注文の30倍以上に膨らむなど、終日売りが優勢だった。14日に2019年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が最高益予想から一転して赤字になりそうだと発表した。買収した企業の経営再建が進んでいないことが嫌気され、成長を期待していた個人投資家の失望売りが広がった。
RIZAPは札証の売買代金の9割を占める主力銘柄。積極的なM&A(合併・買収)で多角化を進めてきたが、子会社の不採算事業の整理などに伴う損失を計155億円計上する見通し。継続して比較のできる上場子会社7社のうち6社の今期業績も悪化する。
市場では、約80にも及ぶ子会社について「経営を再生する困難さがあらためて浮き彫りになった」(マネックス証券の益嶋裕氏)といった声が出ている。
15日も上場子会社9社の株価がそろって大幅安になった。14~27%安と全銘柄が2ケタの下落率を記録した。事業の一部譲渡を発表していたゲームセンター運営のSDエンターテイメント株は前日比150円(21%安)の555円とストップ安で引けた。
19年3月期の最終損益が赤字に転落(前期は15億円の黒字)する見通しの補整下着販売のMRKホールディングスは一時前日比24%安まで水準を切り下げる場面があった。前日の記者会見で瀬戸健社長は「グループシナジーが見込めない事業については積極的に縮小、撤退、売却を検討していく」と述べた。拡大路線の転換を明確にした経営トップの発言を受け、業績の低迷する子会社株にも売りが広がった。
RIZAPブランドで展開する個人向けジムは、テレビCMなどで一般の知名度が高い。今年3月時点のRIZAPの株主を見ると、個人が全体の54%を占める。株主数は全体で5万8000人に達する。
今回の損失計上で子会社の経営再建が遅れていることが表面化した。積極的な拡大路線による成長を期待していた個人の売りが膨らんでいるようだ。RIZAPは業績の下方修正と合わせて、新規の買収の凍結と不採算部門の撤退を表明した。だが15日の株価急落は、成長路線に再び戻れるかどうか市場の疑心暗鬼が強まっていることを映し出す。
RIZAPは7月までに公募増資と第三者割当増資で354億円の資金を調達していた。成長投資と借入金の返済などに充てるとして、投資家からリスクマネーの提供を受けた。
それからわずか4カ月で経営路線の大幅な転換を迫られた形で、投資家の失望が深まっている。松井証券の窪田朋一郎氏は「株価反転を狙った買いも極めて限定的だ」として、当面は軟調な展開が続くと予想していた。