NY商品、原油が反発 米株大幅高が波及、在庫増は警戒
【NQNニューヨーク=戸部実華】4日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は5営業日ぶりに反発した。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の7月物は前日比0.23ドル高の1バレル53.48ドルで取引を終えた。貿易摩擦に対する懸念の後退などで米株式相場が大幅に上昇し、リスク資産とされる原油先物の買いにつながった。
中国商務省が4日、貿易摩擦について「対話によって解決すべきだ」との声明を出し、米中協議再開への期待につながった。米共和党議員が米政権によるメキシコ製品への追加関税を阻止すべく動いているとの報道もあり、貿易摩擦の激化に歯止めが掛かる可能性が意識された。米株相場が上げ幅を拡大した局面で原油先物にも買いが優勢になった。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が4日の講演で貿易摩擦の激化に懸念を示し「景気拡大を持続させるため適切に行動する」と述べた。市場では「FRBが金融を緩和して米経済を支え、原油需要の伸びにつながる」(ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミック・リサーチのマイケル・リンチ氏)との臆測を誘い、原油先物買いにつながったとの見方もあった。
ただ、足元で米原油在庫が積み上がっており、5日発表の週間の米石油在庫統計を見極めたい市場参加者も多く、上値は限られた。
ニューヨーク金先物相場は小幅に続伸した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である8月物は前日比0.8ドル高の1トロイオンス1328.7ドルで取引を終えた。早朝の時間外取引では1334.1ドルと中心限月として2月下旬以来の高値を付けた。
米利下げ観測を背景に、金利の付かない金に資金流入が続くとの見方が金先物相場を支えた。ただ、リスク回避の際に買われやすい金先物にとって株高は売り材料となるため、上値は重かった。