「犯罪被害者の会」解散 支援制度整備で成果
犯罪被害者や遺族らでつくる全国犯罪被害者の会(あすの会)が3日、東京都内で最終大会を開き、結成から18年の歴史に幕を下ろした。犯罪被害者支援制度の整備に取り組んだ元代表幹事、岡村勲弁護士(89)は「会はなくなるが、被害者の課題がなくなるわけではない。これからは国民や国が解消に向けて取り組んでほしい」と活動を締めくくった。
大会には支援者や弁護士ら200人以上が参加。冒頭、松村恒夫代表幹事(76)が「18年間日本中の皆さんからご支援や応援をいただき、お礼を申し上げる」と深く頭を下げ、会場は拍手に包まれた。
会には上川陽子法相も出席。「我が国の犯罪被害者等の施策を動かす原動力になった。会の果たした役割は大きい」と功績をたたえた。
あすの会は2000年に設立し、犯罪被害者の支援や権利の確立を目指して国への働きかけや署名・講演活動に取り組んだ。
岡村弁護士は1997年、代理人を務めていた会社に恨みを持つ男によって妻を殺害された。「被害者は裁判でも蚊帳の外。『証拠品』扱いされていた」と設立前の環境を振り返り、「苦しい思いを後の被害者にはさせないという一心で運動をしてきた」と声を震わせた。
会の活動を通じ、05年には自治体に被害者支援を義務付けた犯罪被害者等基本法が施行。08年には刑事裁判の法廷で、犯罪被害者が被告に直接質問できる被害者参加制度が導入された。
会員数は約270人と、最も多かった時より100人ほど減少。近年は電話相談も減少が続いていた。岡村弁護士は「基本法以降、支援が各地に広がり、被害者があすの会に頼る必要がなくなったのだと喜んでいる」と話していた。