ピーナツ超える「Qなっつ」、落花生の新品種
落花生の国内生産で8割のシェアを占める千葉県で10年ぶりの新品種が誕生する。県は19日、2018年度から本格栽培を始めた新品種を「Qなっつ」と名付け、10月中旬から販売すると発表した。既存の品種に比べて甘みが強く、後味があっさりしているのが特長だ。森田健作知事は「とても甘くて香ばしい。積極的にPRしていきたい」と語った。
一般から公募した6330件のアイデアを基に、生産者やコピーライターらでつくる選考委員会で選定した。アルファベット順でPの次にQが来るのにちなみ「従来のピー(P)ナッツを超える味という意味を込めた」(森田知事)という。
現在の主力品種である「千葉半立」「ナカテユタカ」に比べて親しみやすいネーミングとし、新たな落花生ファンの獲得を目指す。
Qなっつは八街市など県内各地で5月から栽培が始まっており、9月に収穫を迎える。乾燥作業や煎り加工を経て、10月中旬には県内の落花生専門店や農産物直売所の店頭に並ぶ。
販売開始に合わせ、県はQなっつの知名度アップに向けた販促キャンペーンを展開する。10月下旬には千葉市内でデビューイベントを開催し、消費者向けの試食会やQなっつの名称考案者の表彰式を実施する。10月21日のちばアクアラインマラソンでも試供品を用意し、県内外から訪れるランナーや観客に新品種をアピールする。
Qなっつの18年産の作付面積は50~60ヘクタールで、予想収穫量は150トン。収量が安定し、乾燥に強いため「来年度以降も作付面積を増やしていきたい」(県流通販売課)。
県内の落花生の作付面積は5080ヘクタール(17年産)と10年間で17%減少した。生産者の高齢化や後継者難が響き、生産の縮小傾向に歯止めがかからない状態が続く。県はQなっつの販促と並行し、栽培の省力化に関する研究も進めている。乾燥や病気に強く、農家にとっても育てやすい特長を最大限に生かし、落花生の生産てこ入れにつなげるねらいだ。