「金正恩氏と直接向き合う」 首相が国連演説
【ニューヨーク=地曳航也】安倍晋三首相は25日夜(日本時間26日午前)、国連総会で一般討論演説に臨んだ。「北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う用意がある」と強調した。日本人拉致と核・ミサイルの問題を解決して北朝鮮と国交を正常化する方針を改めて説明した。
米朝首脳会談などを念頭に「北朝鮮は歴史的好機をつかめるか否かの岐路にある」と指摘した。「北朝鮮が持つ潜在性を解き放つため助力を惜しまない」とも語った。2017年の一般討論演説では大半を北朝鮮の核・ミサイル問題に割き、国際社会に圧力の強化を働きかけた。今回は米朝などの対話の流れに配慮し「圧力」の言葉は用いなかった。
首相は「北東アジアから戦後構造を取り除く」と述べた。ロシアと北方領土問題を解決して平和条約を結ぶ決意を明らかにした。
自民党総裁選での3選にも触れ「今から3年、自由貿易体制の強化に向け努力を惜しまない」と語った。世界で保護主義的な動きが台頭していることを踏まえ、自由貿易の恩恵を受けてきた日本が旗振り役になるとの意向を示した。
日中印や東南アジア諸国連合など16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を挙げ「交渉に全力を注ぐ」と述べた。日米の貿易協議(FFR)を重視する考えも表明した。日本企業の米国での雇用創出に触れ「ウィンウィンの関係を日米の間で続けていきたい」と訴えた。