台湾、3月輸出が過去最高額、中国向けの半導体がけん引
【台北=中村裕】台湾の財政部(財政省)は9日、3月の輸出額が前年同月比27.1%増の約358億㌦(約3兆9300億円)だったと発表した。前年同月実績を上回るのは9カ月連続で、単月として過去最高を記録した。半導体が全体の34%を占め、好調な輸出をけん引した。中国を中心に米国や東南アジア向けも大きく伸びた。
新型コロナウイルスの影響で、在宅で使うパソコンなどデジタル需要が旺盛で、米中の大手企業からの受注が好調だった。台湾にはIT(情報技術)企業が集積しており、特に高速通信規格「5G」対応のスマートフォンに搭載する半導体やパソコン関連の部品などが伸びた。電子部品、プラスチック素材、半導体用設備の輸出額は、いずれも単月として過去最高となった。
輸出額を仕向け地別に見ると、全体の44%を占める中国大陸(香港含む)向けが35.5%増と最も伸びた。米国向けも34.7%増、東南アジア向けも24%増となり、各地域ともに単月として過去最高の輸出額となった。
台湾は輸出主導型の経済だ。世界的に新型コロナの感染が足元でも続いており、今後もIT関連を中心に好調な輸出が経済をけん引するとみられる。ただ、半導体や液晶パネルなど電子部品の一部では不足問題も起こっている。さらに台湾では昨年から降水量が極端に減り、半導体製造に大量に使う水不足も深刻な問題になりつつあり、予断は許せない状況にある。