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Clubhouseは「団体戦」 面白いルームの見える化が鍵か

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日経ビジネス電子版

2021年に入り、日本で流行した米国発の音声SNS(交流サイト)「Clubhouse(クラブハウス)」。第1期とも言える狂騒は過ぎ、「勢いは継続するのか」「Clubhouseをきっかけに音声コンテンツ産業の成長は加速するのか」といった点に関心は移り始めている。

16年に「声のブログ」ともいわれる日本発の音声メディア「Voicy(ボイシー)」を立ち上げ、既にClubhouseで6万人超のフォロワーを獲得した、緒方憲太郎最高経営責任者(CEO)にClubhouseが音声産業に与えた衝撃と、今後の発展の鍵を聞いた。

――Clubhouseの登場をどう感じておられますか。

「いよいよ来たかという感じです。これまでにいくつかの音声サービスが誕生しましたが、成長は容易ではなく、業界全体で何とかしたいと思っていたところでした」

「今までは、『自分の声で発信する』という文化を生むことに苦労してきました。声による発信はプロが担ってきて、一般の人が行う文化はなかった。Voicyは、『声のブログですよ』『誰でも発信していいんですよ』と打ち出してきましたが、YouTubeで顔を出して発信する人は増えても、声だけで発信する手法はなかなか広まらないという奇妙な状態が続いていました」

「Clubhouseはアートのような格好いいサービスを打ち出して、この難しさをサクッと乗り越えてきた。サービス設計者として悔しいという気持ちはありますが、このビッグウエーブに乗らない手はないと思っています」

――Clubhouseの「アートに近い」という設計とは、どのあたりでしょうか。

「びっくりしたのは、リアルタイムで複数人が時間を共有するサービスなのに、リスナーが発信者に対してコメントやリアクションなど反応を示すことができないということですね」

「ライブ配信などのサービス設計者は、コメントやリアクション、投げ銭(視聴者が応援金を送る)機能を付けたくなるものですが、Clubhouseにはそれがない。これがめちゃくちゃ強い」

――話し手が周囲を気にせずに、語りやすい環境を整えたと。

「そうです。自分もライブ配信の最中に『その話、前聞いたわ』といったコメントが付くと、気分が落ち込んでしまう。日本のいろいろなサービスは、受け手(視聴者)にこびる傾向があると感じます。受け手は数が多いし、お金を払う側になるので仕方がない面がありますが、Clubhouseはしっかりと区分けをして、発信者の心地よさを重視しています」

「Voicyも『発信者が最高に幸せになる』ことを目指してサービスを設計しています。話し手が楽しく話せば、自然とリスナーもついてくるだろうと。受信者がどんどんコメントを出せると発信者がぶれてしまう懸念があります」

「もう1つは、ルーム(リスナーが参加して発信者の声を聞ける部屋)の設計です。従来の発想だと、ルームをつくった発信者の顔だけが表示されて、ほかに誰がいるかは分からないでしょうが、Clubhouseは誰と誰が話をしているかが分かりやすく表示され、『この人たちがしゃべっているなら参加しよう』とリスナーに思わせる形になっています」

「パーティールームに有名人がいっぱいいて、聴衆が聞きたいと集まるような世界観ですね。また、有名人じゃなくても気の合う人が集まって話をすることもできる。サービスの設計がシンプルなおかげで、使い方の自由度が高いんですね」

「また、現在はラジオを聞く人は減り、イヤホンやヘッドホンを買う目的は音楽に絞られています。人々が週に何回かは音声サービスに触れたいと思う環境をつくることが重要でしたが、Clubhouseは発信者を増やすと同時に、聞き手も増やしました」

強い人がより強い武器を得るSNS

――今までのSNSとは違う感覚ですね。

「従来のSNSは発信者1人の個人戦だとすると、Clubhouseは団体戦のイメージです」

「個人戦では自分のチャネルをコンテンツで埋める制作能力が重要ですが、団体戦では、コミュニケーション力が求められます。瞬発力や、切り返しの速さなどアウトプットにかかるスピードが重要になってくる。周到に話題を準備してルームを立ち上げても、ほかのスピーカーとの話の流れによってはイレギュラーバウンドが起こり、それらに対応していく力が求められますから」

「忙しく人生を生きている人ほど面白いアウトプットができるSNSだなと感じていて、(オフラインの対人能力が)強い人がさらに強い武器を得るSNSという側面はあると思います」

――Clubhouseが流行して、Voicyで発信したいという人の応募も増えていると聞きました。

「明確に増えています。20年12月に1000人だったパーソナリティーへの応募者が、ブーム後の21年1月には1300人に伸びました。自分の声を届ける喜びを知ると、自分のメディアやチャネルを持ちたくなる。聞く側は、リアルタイムに聞けなかった話を聞くためにアーカイブが欲しくなる。Voicyで自分のチャネルにコンテンツを蓄積し、Clubhouseでお披露目して、そこで魅力を感じたリスナーがVoicyにやってくるという流れが起きつつあると感じます。フローとストック、ツイッターと(コンテンツ投稿プラットフォームの)noteのような関係ですね」

「1月30日には、ClubhouseでVoicyのパーソナリティーをスカウトするキャラバンを実施して、4人が新たに加わりました。リスナーも毎日数%ずつ伸びています」

――ClubhouseはSNSでしょうか、それとも音声コンテンツでしょうか。

「Clubhouseの功績は『音声コンテンツというほどでもない』という点です。出会ってこんにちはとあいさつするようなSNSの側面が強い。Clubhouseは、音声コンテンツサービスに誘導しやすい場所というイメージです」

企業の採用活動や「声の握手会」が生まれるか

――勢いはこのまま続くと思いますか?

「サービスが広がれば広がるほど、活用法が進化していくことが大切になります。インスタグラムも当初と今では発信者のクリエーティビティーが全然違う。ツイッターは、すごく面白いコンテンツを発信できる人が多く育っていますよね。Clubhouseが1カ月後に勢いを保てているかどうかのポイントになるでしょう」

「今、Clubhouseは2分化されています。聴衆に『聞いていたいな』と思わせる技術のある話し手のルームと、オフラインの対面のようにご挨拶と自己紹介をし合っているルーム。聴衆にとっては、スピーカー同士の近さを確認し合うやりとりは興味が湧きませんよね。前者のような質が高いルームが増えれば、Clubhouseは盛り上がっていくと思います」

――なるほど。私はメールとメッセンジャーツールの関係に似ていると感じます。よく知らない人のルームに入って情報や出会いを求めるのは難度が高いですが、複数人の知人がClubhouseに集まって話をするのは使い勝手が良い。「集合電話」という感じでしょうか。

「そうですね、社内のミーティングに使うなど、いろいろと用途が増えていけばよいでしょう」

「企業が自社の商品を紹介しながら、興味がある人の質問を受けるといった使い方も出てくるでしょうね。採用活動にも向いています。現役社員が登場して生の声が聞けると、入社を希望する人の参考になるんじゃないでしょうか」

「芸能人なら、『声の握手会』という使い方もできそうです。1人あたり30秒、ファンと『いつもありがとうございます』と会話をすれば、1時間で120人のファンがつくれますね」

「今後、訪れるであろう未来は、出会い系のルームができることですね。音声チャットサービスはそうなりがち。海外のサービスなので、細かくはチェックできないでしょう。人のよどんだところが出やすいサービスかなとは思います」

加工なしの「生感」という強み

――YouTubeでも「ファーストテイク」(一発撮り)というジャンルが人気です。声の場合も、こうした「生感」が強みになっているのでしょうか。

「そこは一番の強みじゃないでしょうか。Clubhouseは加工しづらい。Voicyも加工できる仕様にするかどうか、非常に悩みました。声をカットしたり、効果音やエコーを入れたり、やろうと思えばできるのですが、結局、加工機能は取り入れませんでした」

「今、世の中は情報があふれていて、人々は正しい情報よりも安心できる情報を好み、加工されていないものを求めていると感じたからです」

――Clubhouseの運営会社は1月発表の資金調達で「クリエーターへの投資」を掲げています。発信者の質を高める方向にかじを切れば、Voicyのライバルになると思います。勝ち筋はどこにありますか。

「企業秘密です(笑)。ただ、ツイッターなどほかのSNSがClubhouseの機能を取り入れようという動きが出てきていますよね。Clubhouseの機能だけでは足りないのではないでしょうか」

――Voicyはコンテンツの発信者に審査制を採用し、通過率は平均1%前後だとか。発信者の厳選が競争力になるというお考えでしょうか。

「いや、というより、データ活用やマネタイズだと思います。YouTubeが発展した理由は、(発信者が収入を得られる)マネタイズでしょう」

「データは、『利用者が何分で離脱したか』『どんな状況で視聴していたか』などですね。Siri(シリ)やスマートスピーカーなど多くの音声サービスが出てきていますが、例えば家事、運転、ランニングの最中などそれぞれに最適なコンテンツの提供というのはできていません。Voicyはそれが少し見えてきています」

――まとめると、Clubhouseの登場で音声発信のハードルが下がって発信者が増えたことで、耳で聞く習慣を持つ人も増えた。ここからさらに発展するには、コンテンツの質が向上することだと。

「Clubhouse内のレベルを上げたいなと考えています。占師のように1カ月後にどうなると予想するより、中のプレーヤーとして楽しみたい」

「あとは『うまく使えているルーム』が可視化されればよいと思います。参加人数が多いルームが面白いとは限らず、少人数でも盛り上がっているところはある。例えばリスナーが継続してルームにとどまっている割合が8割以上で高い水準だ、と分かるとか」

――ルームを上手に使っているスピーカーを目立たせるという手法もあり得ますね。ただ、話し手のハードルを上げてしまうかもしれません。いずれにしろ、このあたりのさじ加減がClubhouseの継続発展に重要そうですね。

「本当にそうだと思います。最近、ルームに参加しているリスナーを眺めていると、開始1週間のユーザーを示すクラッカーが付いたアイコンが目に見えて減りました。離脱者が増えたということかもしれません」

――ちなみにメディアはどう活用したらよいと思いますか。

「メディアこそ、絶対に活用すべきだと思います。例えば企画会議をClubhouse内で行うとか、掲載後の記事が読まれたのか読まれなかったのか、その要因は何かを編集部で話し合う様子を聞かせるとか」

「最近はほとんどの商品が製作過程をオープンにする『プロセスエコノミー』というふうになってきているので、コンテンツの中身を充実させるだけでなく、途中経過を見せることで新たな層を引きつけることができるかもしれません」

(日経ビジネス 鷲尾龍一)

[日経ビジネス電子版 2021年2月18日の記事を再構成]

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