参院定数「6増」法案が参院で可決 与党、今国会成立めざす
参院は11日夜の本会議で、参院定数を6増やす自民党の公職選挙法改正案を与党などの賛成多数で可決し、衆院に送付した。これに先立ち同法案は参院政治倫理・選挙制度特別委員会で与党の賛成多数で可決した。野党が提出した3本の公選法改正案は採決しなかった。与党は延長国会会期末の22日までに成立させる方針だ。
自民案は選挙区の「1票の格差」を最大3倍未満に抑えるため、埼玉の定数を2増やす。比例代表は4増やし、一部に政党が決めた順位に従い当選者を決める拘束名簿式の特定枠を導入できる仕組みにする。自民党で合区対象県から立候補できない候補者を救済する狙いがある。参院の定数増は、1970年に沖縄の本土復帰に向け2増したのを除くと戦後初めて。
国民民主党の足立信也政調会長は本会議で「党利党略だ」と批判した。日本維新の会の石井章氏は「定数を増やすのは許せない」と訴えた。自民党の森屋宏氏は「次の参院選まで1年となった。決めるときには決めるべきだ」と法案に理解を求めた。本会議では、大選挙区制にする公明党案を自民党などの反対多数で否決した。
参院特別委では法案可決後、公明党が提案した付帯決議を与党や希望の党の賛成多数で可決した。(1)参院のあり方や役割を踏まえ、引き続き選挙制度を検討(2)参院定数増に伴い、経費が増加しないように検討――との内容だ。
これに先立ち国民民主党が立憲民主党などと石井浩郎特別委員長(自民)の不信任動議を提出した。与党は否決し、自民案の討論を省略して採決に踏み切った。石川と福井を合区する立民・希望案、埼玉2増と比例2減の国民案、大選挙区制で定数1割を削減する維新案の計3本は採決しなかった。維新が10日に提出した石井委員長の問責決議案も11日の本会議で扱わなかった。
自民党幹部は、自民案を13日にも衆院で審議入りさせる考えを示した。野党は衆院審議でも徹底抗戦する構えだ。共産党の穀田恵二国対委員長は「単なる参院の問題ではない。民主主義に関わる根本問題だ」と語った。