マツオカ、アパレルOEM世界10位目指す 13日東証1部上場
上場資金でベトナムなど東南アの生産設備増強
縫製加工の国内最大手、マツオカコーポレーション(広島県福山市)が13日、東京証券取引所1部市場に上場する。ユニクロなど国内SPA(製造小売り)への強固な顧客基盤に加え上場資金でベトナムなど東南アジアで能力を増強。海外SPAへの供給も拡大し、3年後にアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)世界10位、年間売上高600億円規模を目指す。
自己株式119万5千株を公募で処分し、概算26億6300万円の調達を見込む。上場で得た資金はバングラデシュやベトナム、ミャンマーの工場増設・建て替えなどに充てる。福山市では11月のポンプ卸会社ポエックに続き、今年2社目の新規上場となる。
アパレルOEMは年間2500億円弱の売上高がある中国企業をトップに中韓やインドネシアの企業が世界市場の上位に並ぶ。500億円強のマツオカは世界12位になるという。国内のファッション市場は消費者の低価格志向などで厳しいが、海外では成長が続く。
経済産業省によると、13年に206兆円だった世界のファッション市場規模は20年に325兆円になる見通し。ZARA(スペイン)やH&M(スウェーデン)などの大手SPAが市場をけん引しており、マツオカもこうした海外勢との取引拡大を目指す。
そのためには能力拡大が不可欠だ。同社は長年の縫製事業経験から様々な技術を保有しており、通常のOEMでは発注するSPA側が行う商品企画・開発まで担える能力を持つ。この力はユニクロとの間でも遺憾なく発揮されている。ただ、現状は生産能力がフルに近く「新たに海外SPAと安定的な取引を行うには工場増強が避けて通れない」(松岡典之社長)。
現在、バングラデシュの下着工場を増強している。18年10月完成予定で、90億円の年間売上高を倍増させる。ベトナムでも18年6月の完成を目指して工場を増設。ミャンマーではカジュアル衣料工場を18年12月までに建て替える。3件の総投資額は33億円。これにより年産能力は8200万枚(43%増)に拡大する。
縫製業に重要なのは品質の安定と納期短縮、コスト削減だ。同社は海外工場の生産状況を本社で一元管理するシステムを構築。数カ月先までの各工場・ラインの稼働率の凸凹を調整し、生産効率向上や最適地生産に結び付けているという。
今後の課題の1つはスポーツ衣料市場の開拓だ。同社は現在、透湿防水素材などをラミネートしたアウトドア衣料向け生地を中国で生産しているが、18年にはベトナムでも生産を始め、供給能力を倍増させる考えだ。
大手のナイキ(米)やアディダス(独)の売上高は、現在取引のあるコロンビアの8~13倍。スポーツ衣料でも大手との取引が広がれば、業績拡大に一段と弾みがつき、アパレルOEMで世界3位も視野に入ってくる。
17年3月期の売上高は517億円で前の期から9%減少した。純利益は15%減の25億円だった。大口顧客からの受注見直しで減収減益となった。18年3月期の売上高は前期比9%増の567億円、純利益は25億円でほぼ横ばいとなる見通し。