北陸製菓の「ビーバー」、八村効果で大フィーバー
金沢で昔から親しまれている米菓「ビーバー」に全国から注文が殺到している。製造と販売を手掛けるのは北陸製菓(金沢市)。オンラインショップは在庫切れで、入荷は8月末以降と1カ月以上かかる見込みだ。米プロバスケットボールNBAのドラフト会議で日本人初の1巡目指名を受けた富山市出身の八村塁選手が、白エビ味をチームメートに紹介し「フィーバー」が巻き起こった。
「食べてみたい!東京で買えないのかな?」「全然知らないお菓子だけど気になってきた」――。現在、ビーバーのツイッター公式アカウントには全国から数多くのコメントが寄せられ、北陸製菓の本社にはビーバーに関する問い合わせが殺到している。
ビーバーは香ばしい味わいにサクッとした食感が特徴の揚げあられだ。塩や昆布などで味付けをし、プレーンのほか、ノドグロ味や白エビ味、カレー味を展開している。
金沢駅内の土産物屋、おみやげ処金沢では17日、ビーバーのプレーンが通常の10倍の数量を売り上げたという。担当者は「在庫も薄くなり、毎日売り切れる状態だ」と語る。
北陸製菓は今年に入りビーバーの販促を強化していた。北陸新幹線の金沢開業から県外の消費者への認知度は徐々に高まっていたことから、北陸限定だったビーバーのプレーンを6月に全国で発売。5月にインスタグラムで公式アカウントを開設したほか、LINE(ライン)のスタンプなども作っていた。そのさなかに八村フィーバーが重なった。
ビーバーは大阪万博が開催された1970年に生まれた。カナダ館にあったビーバーの人形の歯と似ていたため、今の名前がついたという。
人気者のビーバーだが、苦難もあった。実は製造元だった福屋製菓が2013年に経営破綻。1年にわたり製造を停止していたが、14年に北陸製菓が引き継いで販売を再開した。同じレシピでも設備が違えば味も違う。福屋製菓の職人に入社してもらって、味を再現したという。
20年に誕生から50年を迎えるビーバー。担当者は「まずは、全国の消費者にビーバーを届けられるよう対応を急ぎたい」と語る。