高齢者世帯の収入、公的年金が6割 総所得は334万円
厚生労働省は2日、2018年の国民生活基礎調査を発表した。高齢者世帯では収入の61.1%を公的年金でまかなっていることがわかった。働く高齢者が増えたため、17年の調査から5.2ポイント低下した。高齢者世帯の平均所得は334万9千円と17年調査に比べて5.1%増えた。
老後資金が「2000万円不足する」とした金融庁の報告書が国会などで問題になった。働くことで生活費を補填する高齢者の実態が調査で浮き彫りになった。一方、公的年金だけで暮らしている世帯も51.1%いる。
高齢者世帯の収入の内訳をみると、働いて得た所得は20.0%増の85万1千円だった。利子や配当の所得も26.7万円と59.0%伸びた。
公的年金は204万5千円と3.2%減った。単身高齢者の世帯が増えたことや、公的年金の給付水準が低下していることが影響したようだ。1世帯あたりの平均所得は17年調査比で1.5%減の551万6千円。現役時代と比べて収入が減った高齢者世帯の比率が27.6%と、1.4ポイント上昇したことが影響した。
18歳未満の子どもを持つ世帯の所得は0.5%増の743万6千円だった。18歳未満の子どもがいる母親のうち、仕事をしている人の比率は72.2%にのぼり、1.4ポイント増えた。統計を取り始めた04年以来で最多だった。働く母親の増加が子どもを持つ世帯の所得を押し上げたよう。
生活意識に関する質問では、全世帯で「苦しい」との回答が57.7%となり、1.9ポイント増えた。高齢者世帯は0.9ポイント増の55.1%、子供のいる世帯は3.4ポイント増の62.1%だった。