大麻「使用罪」の導入議論 若者へのまん延抑止へ
若者による大麻の乱用が問題化するなか、大麻取締法に「使用罪」の導入が検討されることが、13日明らかになった。厚生労働省が近く設置する有識者会議で議論する。大麻は所持と栽培が禁じられているが、使用に関する罰則はなかった。摘発の対象範囲を広げ、まん延の抑止を図る。
有識者会議は薬学や法学の専門家らで構成、20日に初会合を開き、今夏にも報告書をまとめる方針。
現行の大麻取締法は大麻の使用を罰則対象としていない。国内で大麻は神社のしめ縄などの材料として古くから栽培されている。厚労省によると、農家が大麻を刈り取る際、空気中に飛散する大麻成分を吸い込むといったケースもあり、使用に関する罰則規定を設けることに慎重論があった。
しかし、若者の間での大麻使用は近年、深刻化している。同法違反での摘発者は2019年に4570人と過去最多を更新。20代は前年比28%増の1950人、20歳未満も同42%増の609人と急増した。
捜査関係者の話によると、入手方法ではSNS(交流サイト)を通じた取引が活発だという。ツイッターには大麻を「野菜」、直接の受け渡しを「手押し」と表現するなど、隠語を使ったアカウントが目立ち、捜査幹部は「若者らが容易に入手できる環境がある」と指摘する。
20年版犯罪白書によると、覚醒剤の使用経験がある30歳未満の受刑者のうち、最初に乱用した薬物が大麻だった割合が4割を占めた。大麻が若者の薬物依存の「ゲートウエー(入り口)ドラッグ」となり、より刺激の強い薬物へ移行する傾向が浮かぶ。
各警察は大麻の所持や栽培の事件捜査の一環として、既に容疑者らの大麻使用の有無を調べる尿検査を導入済みだ。
警察幹部は「検査の正確性は極めて高く、誤認による摘発を招く恐れは非常に低い」と強調。「使用罪の導入が実現すれば、効率的な取り締まりにつなげられる」と議論の行方を注視している。