中部電、伊那市と丸紅系新電力に出資 地産地消で
中部電力と長野県伊那市は16日、丸紅系の新電力「丸紅伊那みらいでんき」(伊那市)に出資すると発表した。市内にある水力や太陽光などの設備で発電した電力を地域で使用する、エネルギーの地産地消を目指す。
丸紅が保有するみらいでんき株を中部電と伊那市が買い取る。5月をメドに手続きを完了し、出資比率は丸紅56%、中部電34%、伊那市10%になる。自治体を巻き込んだ新電力への出資は中部電と丸紅にとって初めて。
中部電の大谷真哉執行役員は16日の会見で「ほかの自治体からも問い合わせはあるが、まずは伊那市で事業化につなげたい」と語った。伊那市の白鳥孝市長は「循環型社会の実現に向けて取り組みを広げていく」と抱負を述べた。
丸紅は子会社に全国で小型水力などの発電事業を手掛ける「三峰川電力」(伊那市)を抱え、伊那市周辺では建設中を含め、発電容量40万メガワット相当の設備を持つ。このほか、伊那市は灌漑(かんがい)用水を活用した小型水力などを手掛けている。
みらいでんきは市内で発電する再生可能エネルギーを買い取り、地産地消を売りに市内の事業者などに販売する。第1弾として5月、伊那市の市有施設への電力販売が決まった。今後は電気自動車(EV)用の急速充電設備や子供の見守りサービスなどエネルギー販売以外にも業務を広げていく方針だ。