元弁護士ら「地面師」5人逮捕、都内の土地巡り 警視庁
東京都町田市の土地を巡り、所有者になりすまして売却したとして、警視庁捜査2課は6日、東京都足立区の無職、倉石健一容疑者(68)や住居不定の元弁護士、伊関正孝容疑者(63)ら男女5人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの疑いで逮捕したと発表した。5人は他人の土地を無断で売買して利益を得る「地面師」グループとみられる。
5人は土地の売却代金として不動産会社から約8千万円をだまし取った疑いもあり、同課は詐欺容疑でも捜査する。同課によると、倉石容疑者は容疑を認め、伊関容疑者は「一切関与していない」と否認している。
逮捕容疑は2014年8月、町田市の約830平方メートルの土地を巡り、偽造の運転免許証や委任状を使って所有者の80代の女性になりすまし、不動産会社と土地の売却について交渉。同社に所有権を移転させたとする虚偽の登記をした疑い。
当時弁護士だった伊関容疑者が所有者の代理人を名乗り、自分の事務所で不動産会社と交渉していたという。同容疑者は依頼者からの預かり金を流用したなどして、東京弁護士会が16年4月に除名処分とした。
土地は不動産会社が約8千万円で購入し、倉石容疑者側に代金を支払った。その後、所有者の女性が身に覚えのない登記変更に気づき、被害が発覚した。
地面師を巡っては、品川区の旅館跡地について、偽造したパスポートを提出するなどして地主になりすまし、積水ハウスから約63億円をだまし取ったとして18~19年に別グループが逮捕された。地価の上昇や空き地の増加を背景に近年、地面師による被害が目立っており、警察は警戒を強化している。
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