印パキスタン首脳 カシミール巡り舌戦
印首相「テロと戦う」、パキスタン首相「軍が準備」
【ニューデリー=馬場燃】インドとパキスタンの首脳が、両国で領有権を争うカシミール地方を巡り舌戦を繰り広げた。インドのモディ首相は15日、英領からの独立記念日に演説し、パキスタンを念頭に「テロリズムを広げている勢力と戦う」と語った。前日にはパキスタンのカーン首相が同国の独立記念の演説でインドを批判した。両国間の緊張関係が一段と高まりそうだ。
モディ氏は1時間半ほどの演説で「平和と防衛が発展に欠かせない」と強調した。陸軍、空軍、海軍を束ねる防衛の司令塔を新設することも明らかにした。パキスタンへの直接的な言及は避けたが、カシミール地方での対立激化を踏まえて防衛体制を見直す構想にふれた。北部ジャム・カシミール州を連邦直轄領にする措置については「今までの体制はテロや汚職を生みだしてきたが、今後は成長につなげられる」との認識を示した。
第2次モディ政権は5月に発足し、同州を連邦直轄領にするのは「これまで約70年かけてもできなかったが、新政権は70日以内に実現できた」と実績も訴えた。
ただパキスタンはモディ氏がカシミール地方を連邦直轄領とする措置に反発している。14日に同国の独立記念の演説をしたカーン氏は「モディ氏にメッセージを送りたい。何かアクションを起こしたら我々は強く反応する。パキスタン軍は準備ができている」と警告した。
印パは独立直後の1947年に戦火を交え、65年と71年にもカシミール地方の領有権を巡り戦った。2019年2月にはカシミール地方の実効支配線を越えて互いに空爆した。両国ともに核兵器を保有しており、同地域で問題が起きるとアジア全体の安全保障に影響を及ぼす恐れがある。