トランプ大統領夫妻、コロナ感染 大統領選へ痛手
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は2日、ツイッターで新型コロナウイルスに感染したと明らかにした。メドウズ大統領首席補佐官は同日、記者団に「軽い症状がある」と説明した。職務は継続しているという。危機管理の不備が露呈し、11月に迫った大統領選に向けた選挙活動にも影響が及ぶのは確実だ。
トランプ氏はメラニア大統領夫人も感染したと明らかにした。大統領の主治医は1日付で公表したメモで同日夜に感染を確認したと説明。「大統領夫妻はこの時点では元気で、回復に向かう間はホワイトハウスの邸宅にとどまる計画だ」と指摘した。そのうえで「引き続き、職務にあたることができると判断している」との見方を示した。
米疾病対策センター(CDC)は発熱の症状がある場合は自主隔離したうえで(1)発症から10日経過(2)熱が下がってから24時間経過――という条件を満たすまで他人と接触しないよう求めている。無症状の場合も10日間の自主隔離を求めるが、24時間をあけて2回連続で陰性の結果が出れば自主隔離を解除できるともしている。CDCは感染者と接触した場合に2週間の自主隔離を求めており、トランプ氏の側近の職務に影響が出そうだ。
トランプ夫妻の感染経路は明らかになっていない。1日にはトランプ氏の側近であるホープ・ヒックス氏の感染が判明し、ホワイトハウスで感染が広がっている可能性がある。2日朝の検査では、ペンス副大統領夫妻とムニューシン財務長官の陰性が確認された。ペンス氏はトランプ氏が執務を継続できなくなった場合に大統領職を引き継ぐ。欧州歴訪中のポンペオ国務長官も2日、記者団に同日の検査で陰性だったと明らかにした。
- 【関連記事】
トランプ氏は2日に予定していた首都ワシントンでの支持者との会合や南部フロリダ州での集会をキャンセルした。トランプ氏はコロナが広がるなかでも大統領選に向けて対面の集会を開き、民主党候補のバイデン前副大統領を追撃する戦略だっただけに大きな痛手だ。
トランプ氏は1日のFOXニュースのインタビューで、ヒックス氏の感染に関して「我々が素晴らしい仕事をしているから軍人や警官は私たちに抱きついたり、キスをしたりしたいと思っている。近づくからこういうことが起きる」と説明した。新型コロナへの危機感は相変わらず乏しく、ワクチンが近く、開発されるとの楽観的な見通しも改めて示していた。
ホワイトハウスではこれまで、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)やペンス副大統領の報道官を務めるケーティー・ミラー氏が新型コロナに感染したことが判明している。