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トヨタ「次世代の移動基盤に」 売上高は日本初30兆円台

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トヨタ自動車が8日発表した2019年3月期の連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前の期比3%増の2兆4675億円だった。アジアでの販売が好調だったほか、原価改善も追い風となった。自動運転など「CASE」への投資は拡大するが吸収した。売上高は日本企業で初めて30兆円台の大台に乗った。豊田章男社長は特許の開放や他社との連携強化などを通じて「移動サービスのプラットフォーマー(基盤提供者)への道が開ける」と宣言した。

前期の営業利益は過去最高だった16年3月期(2兆8539億円)には及ばない。ただ為替要因を除いた利益の「質」は改善している。

トヨタの19年3月期の営業利益は前の期比676億円増。為替相場が変動した影響を除いた「真水」ベースではこれが1900億円の増益となる。アジアや欧州などでの販売増、米国での販売奨励金(インセンティブ)の減少に加えて、徹底した原価低減が寄与した。

19年3月期までの3年間でこうした真水ベースの営業増益額は約4000億円に上る。最高益だった16年3月期までの3年間を見ると、利益は1兆5000億円増えたが、ほとんどは円安効果だった。

世界の自動車業界のなかでは、トヨタの好調ぶりが目立つ。18年度は独ダイムラーや米フォード・モーターなど世界の自動車大手の決算は軒並み大幅減益となった。純利益を世界販売台数で割った「1台当たり利益」で見ても、トヨタの18年度までの過去3年間は約20万円。14年度までの3年間平均から2割上昇した。高級車が中心であるダイムラーや独BMW(約40万~50万円)には及ばないが、大衆車も手掛ける独フォルクスワーゲン(約11万円)、米ゼネラル・モーターズ(約5万円)などを大きく上回る。

高水準の利益を背景に豊田社長は「設備投資、研究開発、株主還元でそれぞれ1兆円をあてながら企業のモデルチェンジをする」と話した。

トヨタの堅調な業績の背景には、米中の2大市場での善戦がある。19年3月期には北米で4期ぶりに営業増益に転じた。今回の決算で初めて開示した中国事業の利益は、高級車「レクサス」が好調で前の期に比べ17%増と大きな伸びになった。

19年3月期の北米事業の営業利益は1441億円と9%増え、15年3月期以来の増益となった。売れ筋の大型車の比率を業界平均の60%強に高めた。新型車投入の効果もあって、値引き原資の販売奨励金(インセンティブ)が減り、収益悪化に歯止めがかかった。

トヨタにとって「周回遅れ」(小林耕士副社長)の中国市場では巻き返しを進めた。地道な営業活動のほか、レクサスの値下げなどで、同国市場が縮小する中で中国では販売台数を14%増やした。19年も中国では前年比8%増の販売台数を見込む。現地の子会社や関連会社が稼いだ利益(営業利益と持ち分法損益の合計)は19年3月期に2555億円だった。

トヨタは20年3月期は売上高では前期比で1%減の30兆円、営業利益で3%増の2兆5500億円を見込んでいる。前期に25%減の1兆8828億円だった純利益は前期の持ち合い株の評価損が発生しないとの前提で、19%増の2兆2500億円となる見通しだ。

豊田社長は「過去10年間、世界の自動車市場は米中がけん引してきた」と両市場の重要性を語った。今春には、米国と中国での講演で両国への貢献をアピールし、それぞれ投資案件も発表した。米中の貿易問題が激しさを増すなか、両国市場でどう収益を伸ばすかがカギになる。

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