日本語教師の公的資格創設 判定試験や教育実習も必須に 文化審
国の文化審議会の小委員会は4日、外国人らに日本語を教える「日本語教師」の公的資格を創設する方針をまとめた。判定試験や教育実習を課すのが柱。労働力としての外国人の受け入れを拡大する改正出入国管理法が2019年4月に施行される中、教師の質を高めて日本語教育を充実させ、日本での仕事や生活を支援する態勢を整える。
政府は外国人材の活躍推進をうたった「未来投資戦略」で日本語教師の新資格を検討項目としており、文化審は19年度に具体的な制度設計に着手。文化庁は20年度以降の創設を目指す。
改正法で新設される在留資格「特定技能」のうち、「1号」は単身が条件だが、熟練者が取得できる「2号」は家族の帯同が認められる。長期の就労や永住にも道が開かれ、仕事や生活のための日本語習得がより重要になる。人手不足で企業などの外国人材への期待は大きい。新資格で日本語の習得がスムーズに進めば、就労を後押しするメリットがある。
試験は公益財団法人が運営する「日本語教育能力検定試験」の活用も検討。教育実習は日本語を教える各機関で実際に教壇に立つなどし、実践的な能力を身に付けてもらう。広く日本語教師を目指す人を対象にする方針。大学や民間機関の養成課程の修了者には、試験の一部を免除することも検討する。
現在、日本語教師は法務省が認めた日本語学校で教える場合、養成課程修了といった要件がある。公的な資格はなく、地域の教室などではボランティアが担っている場合も多い。様々な教育機関が日本語教師を採用する際、一定水準に達した人材を集めやすくなる。
法務省によると、在留外国人は18年6月末時点で12年末比で30%増の264万人と過去最多だった。今後も外国人が増える見通しで、日本語教師の需要増に対応する。
文化庁によると、日本語学習者は17年度は10年度比43%増の24万人。これに対し、17年度の日本語教師は4万人弱で、10年度比で18%増にとどまり、ボランティアや非常勤教師で9割近くを占める。専門性の保証で待遇の改善につなげ、職業としての魅力を高める。
留学生のほか、日本で暮らす外国人の大人や子供らを教える対象に想定。日本語学校や企業・自治体での研修、小学校などが活躍の場になる。