テスラの自動運転、まもなく地球1万周に到達
電気自動車(EV)メーカーである米テスラモーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7日、1年近く前に導入した「オートパイロット(自動運転)モード」の走行距離が計2億2200万マイル(約3億5500万キロメートル、地球9000周弱に相当)に達したことを明らかにした。
事故もあったが……
昨年10月に発表されたオートパイロット機能により、対応するテスラ車のオーナーは出発地から目的地までコンピューターに導いてもらえるようになった。自動車業界は自動運転車が公道を行き交う未来に近づいたが、大きく報じられた複数の衝突事故などを巡り論争も起きている。
5月には、2015年型の「モデルS」が先行した大型トレーラーに衝突し、運転手が死亡した(オートパイロット作動中の)初の事故が報告された。テスラは事故後の声明で「空が明るかったので、オートパイロットも運転手もトレーラーの白色の側面を認識できず、ブレーキが作動しなかった」と説明した。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は直ちに独自調査に乗り出した。
オートパイロット作動中のもう1件の事故は中国で起きた。このケースでは、道路からはみ出して停止していた車に衝突し、運転手は重傷には至らなかった。テスラはオートパイロットを発表した際、運転を(機械に)任せる必要があるときもハンドルから手を離さないようドライバーに強く警告していた。これは真剣に受け止められていなかったようだ。
米情報誌「コンシューマーリポート」はテスラのオートパイロット機能について「過大で拙速だ」と批判。さらに「オートパイロット(自動運転)というシステムの名称と、テスラはこのソフトをまだ試験版とみなしているのに、導入に際しては(自動車が運転してくれるかのように)宣伝したことが『ドライバーの誤解を招いている』」と指摘した。
まだまだ発展途上
自動運転車市場はまだ初期の段階にあるため、今後は修正が相次ぐことになる。テスラは自動運転技術の実用化にこぎ着けた数少ない企業の一つだ。米配車アプリ大手ウーバーテクノロジーズと、自動運転モードでの走行距離が184万マイルに上る米グーグルも実用化を模索しているが、今のところは一般消費者が実際に自動運転車のハンドルを握る機会はない。オートパイロットの走行距離が2億2200万マイルに達したのは確かに大きな数字だが、テスラが蓄積された走行データから何を学び、オートパイロットをどう改良するかも興味深い。
テスラは先日、7~9月期の顧客への納車台数も明らかにしている。
By Ken Yeung
(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)