東芝、米LNG事業の売却白紙 新たな買い手探す
東芝は17日、米液化天然ガス(LNG)事業の売却先探しを再開すると発表した。当初予定していた中国の民間ガス大手、ENNグループへの売却を取りやめ、東芝側から契約解除を通知。一旦白紙とし、新たな売却先を2019年度中に探す。これにより19年3月期の連結業績予想に織り込んでいた930億円の損失は計上しない。
米LNG事業は東芝にとって巨額損失が発生するリスクがある資産とされ、国内外の企業と売却交渉を進めてきた。18年11月にENNに売却する方針を決め、3月末までにリスクの切り離しが完了する予定だった。
ところが米中の当局から認可の取得が遅れたことに加え、契約の一部についてENN内の臨時株主総会で承認が下りなかったことで売却が難航していた。
東芝は米LNG事業からの撤退方針は変えていない。売却が遅れることを懸念し17日に同社側からENNへ契約解除を通知し、売却先探しを再開する。関係者によるとすでに新たな売却先候補は浮上しているという。
今回の契約解除に伴う違約金などは生じない見通し。東芝は2月時点で19年3月期の連結純利益が前の期比8%増の8700億円になるとしていた。事業売却に伴い織り込んでいた930億円の損失は計上しない。