日産会長職「廃止を」 特別委が報告書
日産自動車が設置した企業統治改革の専門委員会は27日、経営体制の見直しへ提言をまとめた。カルロス・ゴーン被告に権限が集まった反省から、取締役会の議長に社外取締役をあてるなど執行と監督の分離を明確にするよう求めた。会長職については廃止を提言。社外取締役が過半をしめる「指名委員会等設置会社」への移行も促した。
有識者らで組織する「ガバナンス改善特別委員会」の榊原定征共同委員長らは27日夜、横浜市内で記者会見した。
榊原委員長は「(経営の)執行と監督の長が同じ人物であることが不正を招いた。執行の長は最高経営責任者(CEO)、監督機関の長は議長とすべきだ」と述べ、日産に経営体制の見直しを求めた。
特別委は報告書の中で、カルロス・ゴーン被告に権限が集まった反省から、取締役会の議長に社外取締役をあてるなど執行と監督の分離を明確にするよう求めた。取締役会は過半を独立性を持つ社外取締役にした上で、今年6月末までに「指名委員会等設置会社」に移行するよう提言した。
具体的には、人事の決定権が集中するのを防ぐため、過半を社外取締役で占める指名委員会を設置。経営トップの報酬を決める報酬委員会については、全員を社外取締役で構成する3~5人の組織をつくるよう求めた。
日産では意思決定の権限がゴーン元会長に集中していた。特別委は各取締役が経営会議体に関するすべての資料やデータにアクセスできる体制の構築も提言した。
今回の提言は日産の取締役会に報告され、新たな経営体制の構築へ向けた指針となる。
日産自動車が選択を迫られている。
内田誠新社長のもと、業績をどう立て直すのか、筆頭株主である仏ルノーとの関係をどう再構築するのか。
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