英議会、EU離脱延期を可決 条件付きで「6月末まで」
【ロンドン=中島裕介】英議会下院は14日夕(日本時間15日未明)、欧州連合(EU)からの離脱の延期をEUに求める政府動議を賛成多数で可決した。20日までに英・EUの離脱合意案を英議会が承認することを条件に、3月29日の離脱期限を6月末まで延期する。議会が離脱案を承認しない場合の方針は示しておらず、延期には明確な理由が必要だと主張するEUとの協議が難航する可能性がある。
14日の投票には下院議員の定数650人のうち、登院しないシン・フェイン党の7人や議長団を除いた議員が参加。賛成413票、反対202票だった。
メイ首相は来週前半にも、下院がこれまで2度否決した離脱案を再提出する方針だ。政府の動議では同案が議会で了承された場合、6月末までの延期期間をEU離脱に向けた関連法案の成立作業にあてるとした。
一方、20日までに承認が得られない場合、英政府は「さらに長期の延期が必要になる」との見解を示すにとどめ、具体的な方針を明記しなかった。「延期期間が6月30日を越える場合、5月の欧州議会選に英国が参加を求められる」との見方も示した。
英側がEUに延期を正式に申請すれば、英・EUは21日から始まるEU首脳会議で延期の条件などを協議する。離脱の延期には英を除くEU加盟27カ国の承認が必要で、EUは「信用できる延期の理由が必要」との見解で一致している。
20日までに英議会が離脱案を承認すれば、EUも6月末までの延期を認める公算が大きい。一方、英議会が離脱案を承認しない場合、メイ首相はEUに離脱を延期する明確な理由や期限を示せないまま首脳会議に臨むことになる。
英・EUが合意済みの離脱案は12日の議会で大差で否決されており、メイ首相が反対派を翻意させられるめどは立っていない。英・EUの議論が紛糾して延期を固められず、「合意なき離脱」になる可能性は残る。
14日の審議では議員からの動議も採決した。野党議員からは「2回目の国民投票の実現に必要な期限延期」を求める案や、期間を限定しない延期案が提出されたが、いずれも否決された。