米ロ外相、核軍縮・北朝鮮めぐり溝埋まらず
【ワシントン=中村亮】ポンペオ米国務長官は10日、ワシントンでロシアのラブロフ外相と会談した。ラブロフ氏は新戦略兵器削減条約(新START)の単純延長を求めたが、ポンペオ氏は中国の参加が望ましいとの立場を堅持して溝が埋まらなかった。北朝鮮の非核化の手順に関しても隔たりが改めて浮き彫りになった。
ポンペオ氏は軍縮に関して「トランプ大統領はロシアや中国との枠組みを望んでいる」と指摘。「世界の戦略的安定に影響を及ぼす全ての当事者を対象に検証可能かつ拘束力のある枠組みにすべきだ」と訴え、新STARTの単純延長に慎重な立場を示した。新STARTは長射程の核戦力のみを制限するが、制限対象を拡充すべきだとも主張した。
新STARTは米ロの核軍縮条約で唯一残る枠組みで2021年2月に有効期限を迎える。仮に失効すれば軍拡競争が激しくなる恐れが指摘されている。
北朝鮮の非核化について、ラブロフ氏は「(米朝の)直接対話は相互的措置を講じた場合にのみ成果をあげられる」と指摘した。北朝鮮の非核化措置の見返りに米国が制裁緩和などに応じる「段階的非核化」を促す発言だ。一方でポンペオ氏は経済制裁の履行を徹底するようロシアに要求し、北朝鮮に対して制裁による圧力を緩めない立場を崩さなかった。
北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)関連の実験実施を示唆したことをめぐり、ポンペオ氏は「北朝鮮が合意を順守することを望んでいる」と語った。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が長距離ミサイルの試射や核実験の停止を約束したと指摘し、挑発行為の自制を求めた発言だ。
ラブロフ氏は外相会談後にトランプ氏を表敬した。ホワイトハウスによると、トランプ氏は米国の選挙に介入しないよう要求した。トランプ氏はロシアの選挙介入を容認したと解釈されかねない発言で議会やメディアの猛反発を受けたことがある。「関係改善が両国の貿易拡大につながる」との考えを伝え、ロシアとの対話を進める立場を示した。