サウジ外相、記者殺害と認める 皇太子の関与は否定
遺体行方は不明
【ワシントン=中村亮】サウジアラビアのジュベイル外相は21日、米FOXニュースのインタビューで、トルコのサウジ総領事館での著名記者ジャマル・カショギ氏の死亡を「殺害」と認めたうえで「ひどい過ちだった」と述べた。一方、記者の死因や遺体の行方は不明だと説明し「ムハンマド皇太子に近い人物は誰も事件に関与していない」と語った。
サウジ検察が20日にカショギ氏の総領事館内での死亡を認めてからサウジ政府高官が事件に言及するのは初めて。ジュベイル氏は殺害事件について「与えられた権限や責務を超えた人物による仕業だ」と指摘。「彼らは過ちを犯して隠そうとした」と語った。検察当局などはサウジ国籍の18人を拘束し、容疑者の特定を急いでいる。
ただ、ジュベイル氏は米メディアなどが報道しているムハンマド皇太子の関与は否定した。捜査は初期段階だと説明するとともに、「このような状況では可能な限り正確な情報を得ることが望ましい」と述べた。
一方、トランプ氏は20日、米メディアのインタビューで事件についてのサウジ側の説明に「ごまかしやうそがあった」と不満を示した。トルコ当局も事件の捜査結果を近く明らかにする見通しで、サウジ側の説明の矛盾が鮮明になる可能性がある。
米議会では与野党からトランプ政権に対し、サウジに厳しい措置を求める声が相次いだ。共和党のコーカー上院議員は21日、米メディアに「事件にかかわった全ての人物に制裁を科すべきだ」と強調。事件を厳しく非難する英仏独と連携した対応を求めた。民主党のダービン上院議員も皇太子の関与が明らかになれば、駐米サウジ大使を国外追放すべきだと訴えた。